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【連載】小宮良之の『日本サッカー兵法書』其の七十六「落とし所を考えたOA招集で得られるもの、失うもの」

カテゴリ:連載・コラム

小宮良之

2016年06月23日

「最強メンバー」を選ぶという話なら顔ぶれは違っていたはず。

6月23日に3人目のオーバーエイジ選手に内定した興梠。熟慮の末に決断を下した。写真:小倉直樹(サッカーダイジェスト写真部)

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 リオ五輪本大会に向け、男子サッカーU-23代表は3人のオーバーエイジ(OA)枠を行使することになった。オーバーエイジ選手として内定したのは、FWの興梠慎三(浦和)、左サイドバックの藤春広輝(G大阪)、センターバック(あるいは右サイドバック)の塩谷司(広島)の3人だ。いずれも現時点で、U-23代表のリオ世代よりは実績も、実力もある。
 
「より強いチーム」
 その視点で見れば、OA枠の行使は当然なのだろう。
 
 大会に出場するからには、勝利が目標となる。分かりやすくいえば、「メダル」になるのかもしれない。そのためにできる限りの戦力を揃える。指揮官としては、当然の措置である。
 
 しかし一方、違和感と不安も拭いきれない。
 
 OAに指名された3人は、いずれもJリーグで相応の実績がある選手たちで、フル代表経験もある。各ポジションの事情(サイドバック、センターバックは怪我人が続出。トップも怪我や人材難など)を考えても、悪い選択肢ではない。
 
 ただ、五輪をアンダー(U-23)が付く“育成”の仕上げの大会と位置づけた場合、この3人は選ばれるべき絶対的存在なのか?
 
 興梠は浦和をゴールで牽引できているわけではない。国際舞台で場数を踏んできた選手でもなく、彼より得点を決めている日本人FWは他にもいる。藤春はスピードを生かした攻め上がりが賛美される左サイドバックだが、一方でディフェンダーとしての守備力は難がある。塩谷はJリーグでは最適に近い人選(奈良の故障離脱がなければ必要なかった)だとは思われるが……。
 
 もし、「最強メンバー」という話だったら、異論を挟む余地はないだろう。左サイドバックは長友佑都で、ストライカーは岡崎慎司、もしくは大久保嘉人が有力か。センターバックは北京、ロンドンと2大会に出場している吉田麻也。もしくは、スペイン移籍後に飛躍的成長を見せている鈴木大輔を選んでも面白かった。
 
 しかし現実的には、彼らの招集は難しいと言われる。欧州クラブに在籍する選手は、今回は基本的に招集できない(FIFAの拘束が適用されないため。ただ各国、クラブとの交渉次第で参加する選手もいる)。大久保については、詳細は不明だが交渉は不調に終わった(優勝を争う川崎からは大島僚太がメンバー入り確定、原川力も有力な選手だけに、怪我をした奈良竜樹も含めると、これ以上は招集できない判断か)。OA招集には制限があって、なかなか思惑通りにはいかない。
 
「落とし所を考えたOA招集」と言われたら、きっと妥当なのだろう。
 
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