【今日の誕生日】4月19日/世界一の称号を得た3人目のセレソンの10番――リバウド

カテゴリ:連載・コラム

サッカーダイジェストWeb編集部

2016年04月19日

リベリーノ、ジーコが果たせなかった偉業を成し遂げた魔術師。

ブラジル人選手らしいファンタジスタだったリバウド。独りよがりのプレーに走らず、チームプレーのなかで違いを見せ、結果を残せる偉大なフットボーラーだった。 (C) Getty Images

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98年フランスW杯の準々決勝。デンマークの名手ペーター・シュマイケルが守るゴールを、いとも簡単に2度も破った。 (C) Getty Images

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◇リバウド:1972年4月19日生まれ ブラジル・レシフェ出身
 
 ロシア・ワールドカップ南米予選、6節終了時点でブラジルは6位。初戦でチリに敗れ、ベネズエラ、ペルーには勝ったものの、アルゼンチン、ウルグアイ、パラグアイには引き分けに終わっている。
 
 2年前に自国でドイツに無残な大敗を喫して以降、ドゥンガの下で再建に取り組んでいる“セレソン”だが、その道のりは順調とは言えないようだ。
 
 背番号10の絶対的エース、ネイマールを中心にして、予選を突破し、2年後の本大会では復活した姿を見せられるか。そして、6度目の世界制覇を果たすことができるか。
 
 前回の優勝は、もう14年前のことである。当時、横浜の夜空で黄金のトロフィーを掲げた栄光のチームにおいて、背番号10を背負ったのが、「魔術師」と呼ばれたリバウドだ。
 
 1991年に地元レシフェのクラブ、サンタクルスでキャリアをスタートさせ、以降、コリンチャンス、パルメイラスでプレー。96年に複数のオファーのなかからスペインのデポルティボを選んだ。
 
 加入1年目で21得点という数字を残したリバウドには、ファンも新たなチームのシンボルとして期待をかけたが、間もなくしてバルセロナ移籍が決まったため、一転して彼はファンから裏切り者と見なされることとなった。
 
 しかし、リバウドのキャリアにおいて、この移籍は大きな転機となった。厳格なルイス・ファン・ハールの下、プレーに制約を受けながらも、ファンタジー溢れるプレーでリーガ連覇の原動力となった彼は、99年にバロンドールを受賞。世界一の選手と認められた。
 
 01-02シーズンのバレンシア戦におけるオーバーヘッドによるゴールなど、数々の伝説を創り上げた彼は、02年夏にミランへ移籍。ここではチャンピオンズ・リーグ優勝を経験するも、以前のようなプレーは見せられず、04年にギリシャへ渡った。
 
 オリンピアコス、AEKアテネという2つのクラブに在籍した後、リバウドは08年にウズベキスタンのブドニョコルに新天地を求めたことで世界を驚かせた。ここでは在籍3年間で3度優勝。2年目は28勝2分けという圧倒的な強さをチームは見せ、リバウドは20得点で得点王に輝いた。
 
 10年夏にブラジルへ帰国し、翌年にサンパウロに加入するが、12年にはアンゴラのカプスコルプでプレー。1年でブラジルに戻り、今度はサンカエターノで7試合を戦い、最後は自身が会長を務めるモジミリンの一員として、息子のリバウジーニョとの共演を果たした。
 
 このように、クラブでは流浪のキャリアを送ったリバウド。そのセレソンでのキャリアは、93年から03年まで続いた。
 
 初のメジャー大会となった96年アトランタ・オリンピックは、優勝候補筆頭に目されながらも、日本相手に黒星スタートを切り、調子を取り戻せないまま、準決勝で延長戦の末にナイジェリアの軍門に下り、銅メダルに甘んじた。
 
 2年後の98年フランスW杯でも、チームは戦前に高い評価を受けながら、調子のピークが過ぎた状態で戦いに入り、準優勝という好成績を挙げたものの、決勝戦では完敗に終わり、悔しさと後味の悪さだけを残した。
 
 しかし、背番号10として大会に臨んだリバウドは、通算3得点を記録。準々決勝デンマーク戦では2ゴールを挙げ、粘る北欧の雄に自ら引導を渡すなど、個人としては期待通りのプレーを披露した。
 
 そして4年後、再び背番号10を背負った彼は、南米予選で苦しみ、優勝候補から外されていたブラジルを、ロナウド、ロナウジーニョらとともに攻撃面で牽引。初戦から準々決勝まで5試合連続ゴールを決めた(ロナウドも同様)。
 
 チャンスメイクも冴え、ドイツとの決勝戦では鋭いミドルと絶妙なスルーでロナウドの2得点を演出。まさに背番号10らしい縦横無尽の活躍で、ブラジル6度目の世界制覇の原動力となった。
 
 ちなみに、過去のワールドカップにおけるセレソンの背番号10は以下の通り(固定背番号制となったのは54年スイス大会から)。
 
1954 ピンガ
1958 ペレ
1962 ペレ
1966 ペレ
1970 ペレ
1974 リベリーノ
1978 リベリーノ
1982 ジーコ
1986 ジーコ
1990 シーラス
1994 ライー
1998 リバウド
2002 リバウド
2006 ロナウジーニョ
2010 カカ
2014 ネイマール
 
 輝かしい系譜だが、なかでも2大会以上で背番号10を託されたのは、歴史に残るスーパースターばかりだ。そのなかでリバウドは、リベリーノ、ジーコでも果たせなかった世界制覇を果たした。
 
 同時代を生きたロナウドが脚光を浴びることが多かったものの、リバウドは間違いなく、ブラジル・サッカーの偉大なスターであり、まばゆい輝きを放つ“主役”だった。

背番号10をエースナンバーと定義させたペレ。3度のワールドカップ優勝という経歴で、今なお他の追随を許さない。ちなみに94年大会の背番号10、ライーは大会序盤こそレギュラーだったものの、途中からはメンバーを外れ、チームの快進撃をベンチで眺めることを余儀なくされた。 (C) Getty Images

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過去のほとんどの背番号10と違い、ネイマールはキャプテンも務める。指揮官から全てを託された絶対的な存在である。2年後、偉大なリバウドに続くことができるだろうか。 (C) Getty Images

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