7戦で早くも4敗目。苦境が続く川崎に今、何が必要なのか

カテゴリ:Jリーグ

本田健介(サッカーダイジェスト)

2024年04月08日

町田に0-1で敗戦

後半に途中出場の小林が抜け出したシーンはGKにエリア外で止められ、数的有利を得た。しかし最後までゴールが遠かった。写真:滝川敏之

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 リーグ3連敗後に、4-3-3から4-2-3-1へ布陣変更して攻守のバランスを調整し、FC東京との多摩川クラシコ(○3-0)に勝利、アウェーの横浜戦は退場者を出しながら勝点1を獲得(△0-0)。

 鬼木達監督がよく口にする“キワ”の部分の勝負でも身体を張れるようになり、徐々に復調傾向にあるように思えた川崎だが、7節の町田戦は後半に数的有利を得ながら0-1で敗戦。リーグ開幕から7試合で早くも4敗目(2勝1分4敗)と、目指す覇権奪回へ苦しい状況に立たされている。

 町田戦の前半は、厳しい内容となったアウェーの鹿島戦(●1-2)を見ているような展開だった。鬼木監督が「自分が指揮してきたなかでワースト3位に入る」とも振り返った鹿島戦は相手のプレスに対して勇気を持ってパスを受けられず、ロングボールを蹴って回収される悪循環。

 町田戦は後半に選手交代や「普段通りにやる」(鬼木監督)とのハーフタイムでの意識付けで立て直したものの、前半は町田の一方的な展開となった。

 連戦や主力の欠場なども重なり、中盤の底に新助っ人のゼ・ヒカルド、中盤の左に大卒1年目の山内日向汰を、それぞれリーグ初先発として抜擢したことで、連動性を欠いた面もあるはずで、試合開始後すぐに足を気にしていたジェジエウの交代を引っ張り、失点につながってしまう残念な面も重なるなど、前半の苦戦は様々な要因が考えられる。

 ただ、指揮官は鹿島戦後、改めて技術面の徹底と、攻め勝つ川崎らしさへの原点回帰をチームに呼びかけたが、ここ数年で主軸を担ってきた選手たちの続けざまの移籍によって、立て直しには相当な時間がかかりそうなことを、町田戦では改めて突きつけられる形となった。

【動画】川崎×町田戦のハイライト
 
 町田戦は、元々、相手のロングボールを警戒し、最終ラインをやや深く設定していたという。だが、この対策が後方と中盤との距離が開く原因になり、ボールを前に運べない状況へと追いやられた。

 左SBで先発した大卒3年目の佐々木旭も悔やんだ。

「ロングボールが多くなるということで考えすぎて、ラインが下がってしまったのかなという印象があったので、後半入る時に全員で話し合って勇気を持って上げようというところと、プレッシャーも思ったほどきていなかったので、落ち着いてつなごうという話はしました。前半それを早い段階で気付いて中で修正できれば良かったと思います。

 誰かが気付いて発信できれば良かったですが、なかなか相手が蹴ってくる、競り合いが強いイメージがあったので、弱気ではないですが、もっと強気に相手は全然関係ないよくらいで、上げられれば良かったなと」

 佐々木の言葉通り、残念だったのは注意点は共有するものの、まずは自分たちの形で相手を上回ることを信条とするチームが、相手のやり方に引っ張られてしまった点だ。今、川崎に欠けているのは、技術力とともに、相手を“見る目”、引いては意外性や臨機応変さなのだろう。

 以前から変わらず非常に真面目なチームである。常に厳しいトレーニングを積み、居残り練習が当たり前の環境で過ごし、タスクを遂行する勤勉さもある。

 しかし、一方で、かつてクラブのアイコンであった中村憲剛らには、相手の動きを逆手に取り、出し抜く上手さがあった。試合の流れを読み、要所を抑える“目”があった。

 川崎の代名詞は技術力であるが、ボールを思い通りに止められるからこそ、相手を“見る”時間を確保でき、試合をコントロールする術、相手をいなす力を持っていたと言えるだろう。

 チームと苦楽をともにしてきたFW小林悠に負けがこむ現状について訊けば、「今年は負けている試合はそういう試合が多くて、あの流れなら勝てるだろうという流れを、ことごとくこぼしている感覚がある。そこはやっぱり自分たちの力のなさだと思いますし、応援の声がすごく聞こえていて、背中をすごく押してもらっているのですが勝ち切れない。そこは個人としてもチームとしても負けを簡単に受け入れちゃいけないですし、練習からもっと厳しくやっていかなくちゃいけないです」との答えが返ってくる。

 無類の強さを誇っていたホーム等々力で今季はわずか1勝。町田戦もそうだったが、相手に先手を取られ、重要な場面で淡白な攻めや守備で勝点を落としている印象も強い。

 鬼木監督は試合後にこう話した。

「(質の部分は)やはり根気よくやらないといけない部分だと思っています。質というのは一朝一夕で作るものではないですし、やっぱり毎日の積み重ねだと思っています。それもビッグゲームでできる、出せる、そういう強い意志を持ってというか、トレーニングの中でも、トレーニングをトレーニングで終わらせない、本気でゲームの中でやらないといけないという意識を持ってやらないと、本当の技術というのは生まれないと思いますので、そこは続けていかないといけない、意識させていかないといけないかなと」

“インテンシティ”という言葉が何より求められる今のJリーグで、それを逆手に取るような上手さを川崎には追い求めてもらいたい。ただ、今は地道に一歩ずつ、進んでいくしかないのだろう。それこそ相手を怖がらずに成功体験を積み重ねていくしかない。特に、FC東京や横浜のように同じタイプの相手とは組みやすいが、強度の高いプレスを行なってくる相手への苦手意識も払拭したい。

 時間はかかりそうである。それでも今は力がないことを認識し、川崎スタイルの再構築にクラブとして一枚岩になって挑むしかない。
 
取材・文●本田健介(サッカーダイジェスト編集部) 


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