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ミスが続いて失点...“未完の大器”鈴木彩艶。経験を与えるだけではなく、適切な技術や判断を磨く指導が必要だ【アジア杯】

カテゴリ:日本代表

加部 究

2024年02月01日

最大の収穫は三笘を試運転させられたこと

日本はバーレーンに3-1で勝利。唯一の失点は、GK彩艶の3つのミスが続き生まれてしまった。写真:梅月智史(サッカーダイジェスト写真部/現地特派)

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[アジアカップ ラウンド16]日本 3-1 バーレーン/1月31日/アル・トゥママ・スタジアム

 日本代表は1月31日、アジアカップのラウンド16でバーレーンと対戦し、3-1で勝利を収めた。

 グループステージ2位通過の日本にとって、ラウンド16で顔を合わせるE組首位の座をバーレーンが奪い取ったのは僥倖(ぎょうこう)だった。

 もし韓国がトップ通過をしていれば、日本はこの先4戦全てを決勝戦の心づもりで戦わなければならなかった。マレーシアと3-3の乱戦を演じた韓国のチーム事情がどうあれ、隣国のライバルとの対戦になれば「全てを賭ける」必要があった。

 バーレーンとの対戦が決まったことで、日本側には中2日で臨む準々決勝とセットで構想を練る余裕ができた。おそらく左SBは次戦でのターンオーバーに備えて伊藤洋輝を休ませ、外せないピースの久保建英や上田綺世のプレー時間も多少は軽減することができた。

 指揮官は口が裂けてもそんなことは言わないだろうが、バーレーン戦のテーマはダメージなく確実に勝つことだったはずなので、逆に旗手怜央や板倉滉の故障は痛恨だった。

 バーレーンのジャイアント・キリングへの意識は希薄だった。それは徹底してロングボールを駆使し、日本の前からの守備を避けるとともに、シンプルな打開を目ざしたイラクとの違いを見れば明白だった。
【動画】守備の連係ミスからの日本の失点シーン
 もちろんバーレーンの選手たちもベースとなるテクニックは備え、アフターチャージも含めて球際も厳しく対応してきた。しかし日本を脅かすプレッシングはなく、攻撃もオーソドックスを貫いた。イラクは200本台のパスしか繋いでいないが、バーレーンはショートパスで構築する意識も高く、イラクのほぼ倍の優に400本を超えるパスを回している。ただしその分だけ攻撃にも時間を要し、特別なタレントも見当たらず、前後半ともにペナルティエリアへの侵入はそれぞれ1度だけ。崩し切る形は作れなかった。

 ただ完全に主導権を握る日本も、中央に人を割くバーレーンのゴールをこじ開けるのには苦労した。

 久保が広範に動き、ボールサイドのサポートに入りながら味付けを施すが、せっかく奪ったセットプレーは相変わらず無策で、9分にCKを上田が、また後半開始早々に久保のFKを板倉が合わせた以外は、簡単にはね返されてしまった。そういう意味でも、ピッチ上の状況を読み取り中央のフリースペースで受けた毎熊晟矢の鮮烈なミドルシュートは、判断、パフォーマンスともに値千金だった(ポストを叩き、堂安律が拾って先制)。

 唯一の失点はGK鈴木彩艶の3つのミスが続き生まれてしまったわけだが、恵まれた身体資質を持つ未完の大器には、経験を与えるだけではなく、適切な技術や判断を磨く指導が必要だ。せっかく日本には、同じように未熟な技術しか持ち合わせていなかったエミリアーノ・マルティネスを世界一に導くなど、アーセナルでの数々の実績の持ち主が在住なのだから、活用をお勧めしたい。

 ノックアウトステージに入って最大の収穫は、三笘薫を試運転させられたことだ。明確に何度かの決定機を演出したので、もし最前線でもっと長い時間、上田と同時にプレーできていたら、スコアにも反映されたに違いない。

 もう一つ、日本にとって幸運なのは、後から行なわれたラウンド16最後の試合で、最大の難敵イランをシリアが120分間苦しめてくれたことだ。次は事実上の決勝戦と考えるべきだが、イランが日本以上に疲労を引きずった状態で出てくるのは、1998年のフランスワールドカップへの出場権をかけたジョホール・バルでのプレーオフに似ている。ただし日本が勝つには最低限120分間で決着をつける必要がある。

 イランにPK戦での勝利を見込めないことは、日本代表スタッフも確認したはずだ。

取材・文●加部究(スポーツライター)

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