選手がどんどんギャップに入ってボールを受ける
「フォーメーションは電話番号。その人の連絡先に通じる数字かもしれないが、その人、自身を表すわけではない」
かつて、名将ルイス・セサル・メノッティは思わずうなずきたくなるような説明をしている。
「数字でフォーメーションを表すことに、何の意味があるのか?そこで出す数字なんて、なんだってかまわない」
ジョゼップ・グアルディオラも師事するファン・マヌエル・リージョは、はっきりとそう語っていた。
彼らは枠に収まらない気鋭の指導者だが、ブンデスリーガ、レバークーゼンの若き名将として進境著しいシャビ・アロンソも、“その一派”と言えるだろう。
今シーズン、アロンソ監督が率いるレバークーゼンは躍進を見せるが、まさに攻守に変幻自在である。3-4-2-1は基本だが、4-2-3-1も使える。選手のキャラクター次第で並び方はマイナーチェンジするが、コンセプトそのものは変わっていない。
【PHOTO】長谷川唯のダブルピース、猶本光の決めカット、熊谷紗希のキラキラネイル...なでしこジャパンFIFA公式ポートレートギャラリー
かつて、名将ルイス・セサル・メノッティは思わずうなずきたくなるような説明をしている。
「数字でフォーメーションを表すことに、何の意味があるのか?そこで出す数字なんて、なんだってかまわない」
ジョゼップ・グアルディオラも師事するファン・マヌエル・リージョは、はっきりとそう語っていた。
彼らは枠に収まらない気鋭の指導者だが、ブンデスリーガ、レバークーゼンの若き名将として進境著しいシャビ・アロンソも、“その一派”と言えるだろう。
今シーズン、アロンソ監督が率いるレバークーゼンは躍進を見せるが、まさに攻守に変幻自在である。3-4-2-1は基本だが、4-2-3-1も使える。選手のキャラクター次第で並び方はマイナーチェンジするが、コンセプトそのものは変わっていない。
【PHOTO】長谷川唯のダブルピース、猶本光の決めカット、熊谷紗希のキラキラネイル...なでしこジャパンFIFA公式ポートレートギャラリー
アロンソ監督は、普段のトレーニングからプレーの連動を高めている。それを繰り返すことによって、個人の能力も高め、それが集団性に還元される。一つのサイクルを生み出しているのだ。
例えば左利きプレーメイカーのジャカは、チームの心臓のように血液を体中に巡らせる。彼の一本のパスは、メッセージが込められる。左足で開かずに右へ迅速で精度の高いパスを付けられ、そこに人が流れると必ずチャンスになる。
選手がどんどんギャップに入ってボールを受ける形が、システム化されている。その結果、フロリアン・ヴィルツのようなファンタジスタやヴィクター・ボニフェイスのようなストライカーが台頭。何が正しい選択か、選手が論理的に答えを導き出せることがプレーの透明性につながり、確信性を生み出すのだ。
それは自ずと変幻を生む。
ヨーロッパリーグ、カラバフ戦では象徴的シーンがあった。左サイドバックのアレハンドロ・グリマルド、右センターバックのエドモン・タプソバが得点を記録。守備的な選手もポジションに囚われていない。
アロンソは選手個々のセンスを引き出すため、チームとしての仕組みを作り上げている。レアル・ソシエダのBチームを率いていた時代と、その本質は変わらない。選手の力やキャラクターを見極め、連係を作り出すのに丁寧に根気よく向き合えるか。
フォーメーションを雄弁に語る指導者など、たかが知れている。
文●小宮良之
【著者プロフィール】
こみや・よしゆき/1972年、横浜市生まれ。大学在学中にスペインのサラマンカ大に留学。2001年にバルセロナへ渡りジャーナリストに。選手のみならず、サッカーに全てを注ぐ男の生き様を数多く描写する。『選ばれし者への挑戦状 誇り高きフットボール奇論』、『FUTBOL TEATRO ラ・リーガ劇場』(いずれも東邦出版)など多数の書籍を出版。2018年3月に『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューを果たし、2020年12月には新作『氷上のフェニックス』が上梓された。
なぜ久保建英はPKを蹴れなかったのか。キッカー2人が不在でボールを持つも...指揮官が顛末を明かす「何の疑いもない」
例えば左利きプレーメイカーのジャカは、チームの心臓のように血液を体中に巡らせる。彼の一本のパスは、メッセージが込められる。左足で開かずに右へ迅速で精度の高いパスを付けられ、そこに人が流れると必ずチャンスになる。
選手がどんどんギャップに入ってボールを受ける形が、システム化されている。その結果、フロリアン・ヴィルツのようなファンタジスタやヴィクター・ボニフェイスのようなストライカーが台頭。何が正しい選択か、選手が論理的に答えを導き出せることがプレーの透明性につながり、確信性を生み出すのだ。
それは自ずと変幻を生む。
ヨーロッパリーグ、カラバフ戦では象徴的シーンがあった。左サイドバックのアレハンドロ・グリマルド、右センターバックのエドモン・タプソバが得点を記録。守備的な選手もポジションに囚われていない。
アロンソは選手個々のセンスを引き出すため、チームとしての仕組みを作り上げている。レアル・ソシエダのBチームを率いていた時代と、その本質は変わらない。選手の力やキャラクターを見極め、連係を作り出すのに丁寧に根気よく向き合えるか。
フォーメーションを雄弁に語る指導者など、たかが知れている。
文●小宮良之
【著者プロフィール】
こみや・よしゆき/1972年、横浜市生まれ。大学在学中にスペインのサラマンカ大に留学。2001年にバルセロナへ渡りジャーナリストに。選手のみならず、サッカーに全てを注ぐ男の生き様を数多く描写する。『選ばれし者への挑戦状 誇り高きフットボール奇論』、『FUTBOL TEATRO ラ・リーガ劇場』(いずれも東邦出版)など多数の書籍を出版。2018年3月に『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューを果たし、2020年12月には新作『氷上のフェニックス』が上梓された。
なぜ久保建英はPKを蹴れなかったのか。キッカー2人が不在でボールを持つも...指揮官が顛末を明かす「何の疑いもない」