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30年前の今日、いかにして「ドーハの悲劇」は起きたのか――。オフト監督は「大会が5秒長かった」と回想した【コラム】

カテゴリ:日本代表

石川聡

2023年10月28日

【今日は何の日?】1993年10月28日:アメリカW杯アジア最終予選、日本vsイラク戦(カタール・ドーハ)

ピッチに倒れて込むカズ。「ドーハの悲劇」からちょうど30年が経った。(C)Getty Images

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 中東のカタールで開催された昨年末のFIFAワールドカップ(W杯)で、日本代表は優勝候補に挙げられていたドイツ、スペインをいずれも逆転で下すという快挙を演じた。その「ドーハの歓喜」の29年前、同地では「ドーハの悲劇」と呼ばれるショッキングな出来事があった。正確には1993年10月28日。翌年開催のアメリカ大会アジア地区最終予選最終戦、イラク戦の結末だ。
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 最終予選に進出したのはサウジアラビア、イラン、北朝鮮、韓国、イラク、そして日本の6か国。1回戦総当たりのリーグ戦を行ない、上位2か国が本大会出場の切符を獲得する方式だった。オランダ人のハンス・オフト監督が率いる日本は、初戦でサウジアラビアと0-0の引き分け、続くイラン戦は1-2と敗れてしまい、早くも予選突破に暗雲が立ち込めた。

 しかし、第3戦で踏ん張り、三浦知良(カズ)の2得点などで北朝鮮に3-0の快勝を収めると、続く韓国戦もカズの決勝点で1-0の勝利と持ち直した。最終戦を前に勝点を5とし、同5のサウジアラビア、同4で並ぶ韓国、イラク、イランを抑えて首位に躍り出た(当時は勝利が勝点2)。あとはイラクを下せば、悲願のW杯初出場が確定する。

 そして迎えたイラク戦。アルアハリ・スタジアムのピッチに立ったのは、GK:松永成立、DF:堀池巧、柱谷哲二、井原正巳、勝矢寿延、MF:森保一、ラモス瑠偉、吉田光範、FW:長谷川健太(59分、福田正博)、中山雅史(80分、武田修宏)、三浦。

 開始5分、日本は願ってもないスタートを切った。長谷川がドリブルで持ち込み、ペナルティーエリア内の中山とワンツーパスのような形から強烈なシュート。クロスバーを直撃して戻ってきたボールを、カズがヘディングで押し込んだ。

 日本は前半を1点のリードで折り返したが、後半はイラクも反撃。54分には右クロスを受けたアーメド・ラディが、日本選手のチャレンジを受けながらもゴール右隅に流し込み、同点に追いついた。しかし、日本は69分、相手ディフェンスラインの裏側に走り込んだ中山が、ラモスからのスルーパスを受けて蹴り込み、再びイラクを突き放した。
 
 スコアは日本がリードのまま試合終盤に入り、W杯出場までまさに秒読み。90分を回ったころ、イラクは右CKを得て最後のチャンスに懸ける。

 選択したのはショートコーナー。日本は三浦が対応に出たが縦にかわされ、クロスがゴール前へ。これにひときわ高くジャンプしたオムラム・サルマンのヘディングシュートがゴール左隅に落下。キャプテンの柱谷は「頭が真っ白になって信じられなかった」と、帰国後の会見で振り返ったシーン。土壇場でイラクが再び追いつき、それからまもなくタイムアップの笛が鳴り、試合は2-2で終了。オフト監督は「大会が5秒長かった」と回想している。

 日本はこの引き分けによって、2勝2分け1敗の勝点6で終了。イランに4-3と競り勝ったサウジアラビアが勝点を7とし、首位で初の本大会出場権を獲得。北朝鮮に3-0と快勝した韓国も勝点6で日本に並び、得失点差で2位に浮上して3大会連続4度目の出場権を手にした。日本は3位となって涙を呑んだ。

 この年の5月、Jリーグが開幕し、日本のサッカー環境は劇的に変わった。だが、その効果が実を結ぶのには、さらに4年が必要だった。しかし、そのW杯初出場も、ドーハの悲劇を抜きには考えられない。

文●石川 聡

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