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国立が6万2000大観衆で埋まった“伝説の日韓戦”。38年前、そこにはまったくの別世界が広がっていた【コラム】

カテゴリ:日本代表

石川聡

2023年10月26日

【今日は何の日?】1985年10月26日:メキシコW杯アジア最終予選、日本vs韓国戦(国立霞ヶ丘競技場)

無数の日の丸で埋め尽くされた国立。日本が惜しくも韓国に敗れた大一番は、プロリーグ創設への機運を高めるきっかけとなった。写真:山田真市/アフロ

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 カタール大会から1年にも満たず、ふたたびFIFAワールドカップ(W杯)への戦いが幕を開けようとしている。11月16日にパナソニックスタジアム吹田で行なわれるミャンマーとの一戦で、2026年大会(アメリカ、カナダ、メキシコの3か国共同開催)のアジア2次予選がスタート。日本代表は8大会連続8度目の出場を目ざすことになる。
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 今でこそW杯常連の日本だが、1998年フランス大会で初出場を果たすまでは、生みの苦しみが続いていた。1968年のメキシコオリンピックにおける銅メダル獲得をピークに、W杯でもオリンピックでも予選敗退が続き、日本サッカー界は閉塞感に覆われていた。そのような状況下、希望の光が差し込んだのが、ライバルの韓国と切符を争ったW杯の1986年メキシコ大会アジア地区最終予選。ホーム&アウェーの決戦で、その第1戦が38年前の1985年10月26日だった。

 舞台は国立競技場。そこには、それまで見たことのない光景が広がっていた。

 スタンドをぎっしりと埋めた観客が打ち振る日の丸の旗、耳をつんざくチアホーンの喧騒。代表戦でも日本サッカーリーグ(JSL)でも閑古鳥の泣いていたスタジアムが、まったくの別世界となっていた。発表された観客数は6万2000で、これが当時は満員を表す数字だった。日の丸の小旗は3万本以上が用意されたという。

 日本は悲願の初出場へ向けて、森孝慈監督が攻撃力強化のために戸塚哲也(1984年のJSL得点王)を復帰させ、1985年2月に日本国籍を取得したブラジル出身の与那城ジョージを初めて招集した。ともに攻撃サッカーでJSL連覇中だった読売サッカークラブのアタッカーコンビだ。

 韓国戦のピッチに立ったメンバーは以下の通り。GK:松井清隆、DF:松木安太郎、加藤久、石神良訓、都並敏史、MF:西村昭宏、宮内聡、木村和司(82分、与那城)、FW:水沼貴史、戸塚(77分、平川弘)、原博実。
 
 大声援の中でキックオフされた試合で、30分に均衡を破ったのは韓国だった。小さかった日本のクリアを逃さず、鄭龍煥がワンタッチで強烈なシュートをゴールネットに突き刺した。さらに41分、自陣で日本の緩い縦パスをカットしてからのカウンターアタックで、最後はエースの崔淳鎬から李泰昊へつないでリードを広げる。「辛抱強く戦っていれば必ずチャンスはある」と試合前に語っていた森監督だが、思わぬ形の失点が重くのしかかった。

 日本に希望がもたらされたのはその2分後。韓国ゴール正面、20数メートルでFKのチャンスを得ると、もちろん名手の木村がボールをセット。その右足から放たれたボールはカーブしながらゴールポストを叩いて決まる絶妙のシュート。古くからのサッカーファンの間で、今でも語り草となっている伝説的なFKだった。

 点差を詰めて残りの45分に望みをつないだ日本だが、ついに追加点は生まれなかった。後半半ばには左CKのチャンスで木村がニアサイドの加藤に合わせたが、そのヘディングシュートは無情にもクロスバー直撃。終盤には期待の与那城をピッチへ送り出したが、時すでに遅かった。大切なホームの初戦を1-2で落とした森監督は「半分終わったところ。チェックして出直す」と懸命に前を向くしかなかった。

 ところが1週間後の11月3日、ソウルでの第2戦も0-1の敗戦。2戦2勝の韓国が1954年スイス大会以来、8大会ぶり2度目のW杯出場権を獲得した。韓国は1981年に早々とプロリーグを発足させており、第1戦では先発11人中9人がプロ選手だった。力の差を見せつけられた日本はそれから間もなくして、ようやくプロ化の必要性を訴える声が上がり始めた。

<文中敬称略>

文●石川 聡

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