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12年前の快挙と感動をふたたび! なでしこジャパンはなぜ“24戦未勝利”の強豪アメリカを撃破し、世界の頂点に立てたのか

カテゴリ:日本代表

石川聡

2023年07月17日

【今日は何の日?】2011年7月17日、女子ドイツW杯決勝:日本vsアメリカ戦

土壇場で澤(10番)の同点弾が決まる。日本はPK戦でアメリカを下し、初の世界女王に輝いた。(C)Getty Images

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 オーストラリアとニュージーランドが共同開催するFIFA女子ワールドカップ(W杯)が、7月20日に開幕する。

 この大会に向けたメンバー発表(6月13日)に臨んだ池田太監督は「頂点を目ざし、大きな志を持って戦う」と抱負を述べた。まさにそうした戦いぶりで、なでしこジャパン(日本女子代表)が世界を制したのが2011年。その金字塔を達成したのが、12年前の7月17日(日本時間は18日)のことだった。

 ドイツが舞台となった2011年の女子W杯。日本はグループステージを2勝1敗の2位で突破し、準々決勝で3連覇を目指した地元ドイツを延長戦の末に1-0で振り切る。準決勝ではスウェーデンに3-1と快勝し、初の決勝進出を果たした。

 フランクフルトで行なわれた決勝で、世界女王の座を争ったのはアメリカだった。3年前の北京オリンピックで金メダルを獲得し、女子W杯では3大会ぶり3度目の優勝を狙っていた。勢いに乗る日本だったが、このアメリカにはそれまで24戦して一度も勝ったことがない(3分け21敗)。この2011年も3月のアルガルベカップ(ポルトガル)で敗れ、5月のアメリカ遠征でも2連敗を喫していた。

 前半はFIFAランキング1位のアメリカが、同4位の日本を圧倒的に押し込む。シュートがゴールのバーやポストを叩き、日本の肝を冷やす。その流れは後半になっても変わらず、69分にはロングパスによる攻めを凌ぎ切れず、ついに先制を許してしまった。しかし、ここからが日本の真骨頂。81分に右サイドからのクロスのこぼれ球を、ゴール前に詰めていた宮間あやが巧みに押し込んで追いつき、1-1のスコアで延長戦に突入した。

 2011年と言えば、この決勝の約4か月前に東日本大震災が発生し、東北地方などが甚大な被害に見舞われた。佐々木則夫監督(現日本サッカー協会女子委員長)は、被災地の模様を収めた映像を用意し、正念場となった前述のドイツ戦、そして決勝の前のミーティングで選手たちに見せたという。

 震災時に所属していたなでしこリーグの東京電力マリーゼが活動休止に追い込まれた鮫島彩、「東北出身者として、東北に素晴らしいニュースを届けたかった」という岩手県生まれの岩清水梓は言うに及ばず、あらためて被災地の状況を目にした選手たちには期するところがあったろう。それこそが「大きな志」となって、彼女たちを駆り立てる要因のひとつとなったに違いない。

 一方、そのような事情を日本側が抱えていたとはいえ、アメリカにも意地とプライドがあった。延長戦の前半14分、エースのアビー・ワンバックが強烈なヘディングシュートを決めてふたたびリードを奪う。試合は2-1のまま進み、タイムアップが刻々と近づいた。

 試合時間は残り3分ほど。ここで日本は左CKを獲得した。短い間にキャプテンの澤穂希、宮間、阪口夢穂の主力3人は「ニア(サイド)」狙いを共有したという。宮間が正確にニアサイドへ蹴ったボールを澤が右足アウトサイドで合わせると、劇的にゴールネットを揺らして再度同点。延長戦を含む120分が終了する直前、アメリカのアレックス・モーガンが抜け出して日本ゴールに迫るピンチも、ペナルティーエリアのすぐ手前で岩清水が捨て身のタックルで阻止。日本の守備の要にはレッドカードが示されたが、スコアは2-2のまま終了した。
 
 決着はPK戦に委ねられた。ここで存在感をアピールしたのがGK海堀あゆみ。相手の1本目を足でストップすると、3本目も判断良くセーブ。最後は、当時20歳で、現在はなでしこジャパンでキャプテンを務める熊谷紗希が決めてPK戦は3-1の勝利。日本はついに世界の頂点に立ち、守護神は決勝の最優秀選手にも選ばれた。

 国際サッカー連盟(FIFA)主催の大会で日本が世界一の座に就いたのは、男女を通じて初。大会を通じて5ゴールをマークした澤は、得点王のタイトルを手にしただけでなく、大会最優秀選手に選ばれる活躍でチームを牽引した。日本女子代表が初めて編成されたのが1981年。それからちょうど30年の節目での快挙だった。

 さて、今回の女子W杯。大会開幕1週間前の13日、ようやく日本戦などの放映決定が発表され、胸をなで下ろしたサッカーファンも多いことだろう。12年前に成し遂げた栄光を再現しようと世界に挑む、なでしこジャパンの奮闘に注目したい。

文●石川 聡

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