フットボーラー＝仕事という観点から、選手の本音を聞き出す企画だ。子どもたちの憧れであるプロフットボーラーは、実は不安定で過酷な仕事でもあり、そうした側面から見えてくる現実も伝えたい。今回は【職業：プロフットボーラー】権田修一編で最終回のパート５だ。
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　考え方がしっかりしていて、クソ真面目。そんな権田選手なら、普通のサラリーマンでも成功しそうだが、本人は真っ向から否定する。

「僕が普通のサラリーマン？ できるわけないじゃないですか（笑）」

　いやいや、できると思うが。

「そもそも、サラリーマンが何か分かっていない。いずれにしても、自分の色を出せない仕事はできないです。この資料をここに写してとか、単純作業は向いてないと思います」
 

　例えばJリーグのチェアマンならどうだろう。清水のファン・サポーターの中には「権田にいずれチェアマンになってほしい」との声も聞かれるが。

「どうですかね。イメージしたことがない（笑）。引退後、サッカークラブの社長をやるのか、GMをやるのか、キーパーコーチをするのか、それともチェアマンをするのか。いずれにしても、そこにやり甲斐があるかが大事なポイントです。僕が今サッカーをやっているのはやり甲斐があるから。そこに100パーセントの力を注ぎ込めるから。『これやって』『はい、やりました』的なスタンスは合わない。絶対にできないです。自分の意見を加えちゃいます（笑）」

　自分の意見を取り入れる。それは優秀な社員がやることではないのか。

「そう思うじゃないですか。それを優秀と言ってくれる会社なら良いですけど、『お前は言われたことだけやれよ』と指示されるようなところなら、僕は15秒で辞めます（笑）」

　プロフットボーラーとしてやり甲斐を感じているのなら、それは選手として成功しているように見える。しかし、権田選手の感覚は違う。

「（成功かどうかは）難しいですね。僕は引退する時に言いたいことがあるんです。やり残したことはありませんって。僕はセレモニーをやりたくなくて、ひっそりと引退していく中で『選手としてやり切りました』と伝えたい。今はまだそういう状態ではないから、きっと成功はしていないじゃないですかね。でも、楽しいですよ。サッカー選手は楽しいなと思いながら日々過ごしています」