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今から93年前、わずか13か国で開催された第1回W杯。なぜ小国ウルグアイが“初代ホストカントリー”となったのか

カテゴリ:ワールド

石川聡

2023年07月30日

【今日は何の日?】1930年7月30日:第1回W杯決勝、ウルグアイvsアルゼンチン戦

現在とは異なるデザインだった初代トロフィーのジュールリメ杯。第1回W杯は南米ウルグアイで開催された。(C)Getty Images

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 現在、オーストラリアとニュージーランドではFIFA女子ワールドカップ(W杯)が行なわれており、なでしこジャパン(日本女子代表)が2011年大会以来の世界制覇を目ざして奮闘中だ。

 国際サッカー連盟(FIFA)が主催するW杯は、年齢制限のないカテゴリーを頂点にU-20(20歳以下)、U-17(17歳以下)が男女共にあり、フットサル、ビーチサッカーでも開催されている。そして、その源流は今から93年前の1930年に始まった男子のW杯で、サッカーの初代世界王者が決まったのが7月30日だった。

 第1回のW杯開催地となったのは南米のウルグアイ。当時の人口が200万ほどの小さな国だが、旧憲法発布100周年を祝おうと、参加チームの旅費や滞在費を含む運営費用の全額負担を訴えて、開催権を手に入れた。出場は13か国で、欧州勢は4か国。約2週間の船旅で大西洋を越えてやって来た。

 決勝に勝ち進んで来たのは、ラプラタ川を挟んで対峙する地元ウルグアイとアルゼンチンだった。2年前のアムステルダムオリンピック決勝でも顔を合わせており、ウルグアイが1-1の後の再試合を2-1で制し、大会連覇を成し遂げていた。

 W杯のために建設されたセンテナリオ・スタジアムで行なわれる決勝の前には、一つの問題が持ち上がった。双方が自国製のボールを使用することを主張したのだ。ベルギー人のジョン・ランゲヌス主審がコイントスを行ない、前半はアルゼンチン製、後半はウルグアイ製を使うことで決着した。

 試合は12分にウルグアイのパブロ・ドラドが先制し、約8万人といわれた観衆の大部分を占める地元ファンを熱狂させた。しかし、その8分後、アルゼンチンはカルロス・ペウチェレが同点ゴールをマーク。さらに畳みかけて、37分にはこの大会で通算8ゴールを記録して得点王となるギジェルモ・スタビレが決めて逆転に成功すると、スタジアムは静けさに包まれたという。アルゼンチンが2-1のリードでハーフタイムを迎えた。

 後半に入るとウルグアイが攻勢を強めた。57分に2-2と追い付く得点を挙げたペドロ・セアの回想が『FIFA Magazine』1989年5月号に掲載されている。「キャプテンであり、(実質的な)監督でもあったホセ・ナサシがもっと中盤に上がるようになったんだ。それでホセ・レアンドロ・アンドラーデ、ロレンソ・フェルナンデス、そしてナサシのスーパートリオが中盤を完全に支配した」。

 セアによれば、そのような展開になったのは「リードしたアルゼンチンが後方に多くの選手を割いたのも間違いだった」から。「センターハーフのルイス・モンティが守備陣の中に吸収されてしまったのもミスだったね」。

 試合をコントロールしたウルグアイにとって、「3点目、4点目が生まれるのは当然のことだった」(セア)。68分にサントス・イリアルテがロングシュートでゴールネットを揺らして逆転すると、89分にはエクトル・カストロがヘディングシュートでダメ押し。ウルグアイは4-2と勝利して、初代世界王者の称号を手にした。オリンピック連覇に続く偉業にウルグアイ国民の歓喜は果てることなく続き、翌31日は休日とされた。
 
 しかし、ウルグアイはこのタイトルを次回の1934年大会で防衛することを放棄した。自国の大会に欧州の強豪国は目もくれず、チームを派遣しなかったことを快く思わず、イタリアで開催される大会に選手を送らなかったといわれる。一方、大会後に多くの有力選手が国外のクラブに引き抜かれ、チーム弱体化を懸念しての不参加ともいわれている。

 W杯は7年後の2030年に記念すべき創設100周年を迎える。ウルグアイはアルゼンチン、チリ、パラグアイとの共同開催で、再び招致活動を展開している。はたしてW杯は100年の時を経て、再び揺らんの地を熱狂に包むことができるだろうか。

 なお、1966年の7月30日には、W杯のイングランド大会でも決勝が行なわれている。ウェンブリー・スタジアムが舞台となった決戦では、イングランドが延長戦の末に西ドイツを4-2と下し、初優勝を達成した。

文●石川 聡

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