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【高校選手権コラム】「選手権しかない」時代の終わり。リーグ戦文化の定着とともに強豪校の“安定”期が到来

カテゴリ:高校・ユース・その他

平野貴也

2016年01月15日

当初は、勝ちたいのは「選手権」、力をつけるのが「リーグ戦」という考え方だったが。

夏冬連覇を果たした東福岡。プレミアリーグで培った強さをまざまざと見せつける優勝だった。写真:滝川敏之(サッカーダイジェスト写真部)

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 夏冬2冠は、戦国時代終焉の啓示か――。
 
 第94回全国高校サッカー選手権は、東福岡(福岡)の17年ぶり3度目の優勝で幕を閉じた。インターハイ(高校総体)との夏冬2冠は、2003年度の国見(長崎)以来12年ぶり。10年前に野洲(滋賀)が優勝してからは初優勝校が続出し(複数回優勝校は、第90回大会の市立船橋のみ)、優勝校の予想が非常に困難となっていたが、今大会は前評判に違わぬ順当な勝ち上がりが目立った。
 
 ベスト4の顔ぶれを見ても、サプライズは國學院久我山(東京A)のみ。高円宮杯U-18プレミアリーグEAST2位の青森山田(青森)、前回優勝の星稜(石川)は、ともに実績十分で有力候補だった。
 
 その他、大会前に優勝候補に挙げられたチームも、有力チームとの対戦でほぼ番狂わせのない敗退。インターハイ準優勝の市立船橋(千葉)は東福岡に、U-18日本代表FWの小川航基を擁する桐光学園(神奈川)は青森山田にそれぞれ3回戦で敗れたが、組み合わせのヤマが偏っていなければ、より前評判に近い形で大会が終わった可能性もあった。
 
 思い返せば、前回大会の星稜は初優勝だが、その前年に準優勝した優勝候補でもある。予測不能な戦国時代に終焉の足音が聞こえ始めている。
 
 背景には「選手権しかない」時代の終わりがある。2011年に新設された高円宮杯U-18プレミアリーグの影響だ。Jユースと高校が垣根を超えて戦う場は以前から存在したが、全国区(東西2リーグ)で1年を通して戦い続けるという面では、初の試みとなった。
 
 導入当初、Jユースに比べて戦力面で劣る高校は劣勢を強いられた。ところが、3年目に流経大柏(千葉)がプレミアリーグを制覇し、高校勢のリーグ戦に対する取り組み方は少しずつ変わっていった。
 
 顕著な例としては、今季のプレミアEASTで優勝を争った(最終順位は4位)市立船橋が挙げられる。朝岡隆蔵監督は就任当初「選手として、チームとして力をつけていくためには、もう少し下のリーグでも良いかもしれない」とあくまでも照準を選手権に合わせ、当時所属していたプリンスリーグ関東1部(当時は2部制)を腕試しの場として意識していた。
 
 ところが、同県のライバル校がリーグを優勝したことや、市立船橋も選手権を優勝したことから、現在では「プレミアでチャンピオンシップを取りたい。今は、もうJユースと戦っても気後れするところはなくなった」と話すようになった。当初は、勝ちたいのは選手権、そのための力を付けるのがリーグ戦という考え方が高校勢の中では主流だった。
 
 しかし、プライドの高い強豪校がリーグ戦でも勝ちたい、あるいは勝てるはずだと思うようになり、バランスを取って両立を目指し始めた。一部の強豪校に限られた話ではあるが、意識の頂点に「選手権」しかない時代から「選手権と、プレミア」が共存するようになって来ている。
 
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