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優勢なのに試合をコントロールできない。ハベルツやムシアラら逸材擁するドイツ代表のジレンマ【現地発】

カテゴリ:連載・コラム

中野吉之伴

2023年06月21日

EUROで優勝を狙えるチーム作りを

6月のウクライナ戦、ポーランド戦で白星を掴めなかったドイツ代表。(C)Getty Images

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 来年の欧州選手権(EURO2024)に向けて、ドイツ代表は優勝を狙えるチームを作ることが求められている。ドイツで開催するのだから、開催国として恥ずかしくない戦績をあげることは義務だと。

 ただ、18年ロシア・ワールドカップ(W杯)、21年開催だったEURO2020、22年カタールW杯と、3大会連続で納得のいかない結果(グループステージ敗退→ベスト16→グループステージ敗退)に終わっている。はたして高すぎる目標を立てることが得策なのだろうか。

 ここ最近のドイツ代表はジレンマを抱えている。選手は質も量も十分。しかしビッグトーナメントで結果を出せない。だからといって負けないことを第一に、失点しないことを優先した守備的な戦い方をするための人選や戦術・システム選びを行なっているわけでもない。

 難易度の高くない、実現可能な目標を立て、そこから将来的にまた優勝争いできるチーム作りを――と段階的に進められないものかと思われるが、西ドイツ時代を含め、W杯優勝4回、EURO優勝3回の実績を誇る大国としての自負がそれを許さない。

 3-3のドローに終わった6月12日のウクライナ戦後、FWニクラス・フュルクルク(ブレーメン)が興味深い指摘をしていた。

「いろいろな時間帯がある試合になってしまった。前半は優勢的に試合を進められていたと思うんだ。ただ、ボールをずっと保持していながら、ゲームをコントロールできていると思えない感覚もあった」
 優勢なのにコントロールできない。これは現在のドイツ代表を表わすキーワードだ。

 ボール保持率は高い。相手ペナルティエリア付近でボールを回してチャンスを作ろうとする。だが、人数をかけて守る相手守備を崩すことがほとんどできないうえ、ボールロストがすぐ相手のカウンターチャンスへとなりがちだ。フュルクルクが続ける。

「僕らは相手ペナルティエリア付近でボールを保持することが多い。スペースはすごく限られている。僕の役割はエリア内でポジションを取ることだけど、そこにパスを呼び込むことがとても大事になる。相手選手を引き寄せてスペースとコースを作り出すことがチャンスにつながるからだ。ボールを引き出し、収めて、繋げる役割を担うわけで、今日もいくつかはうまくできたけど、いくつかはうまくいかなかった。そこをもっと改善していきたい」

 ゴールになる可能性が高い状況を作り上げる。それが攻撃の局面で大切なのは間違いない。そうした状況になるまで我慢強くボールを回す時間帯も必要だ。ただ、「サイドで起点を作ってもクロスが入ってこない」「入ってきても仲間に合わない」「シュートチャンスで打ち切るよりも、もう一つ、二つショートパスをはさむ」という局面が続くと、それこそファンから聞こえるのは声援ではなくため息になってしまう。

 ゴール前に競り合いに強いFWがいない。これまでずっと指摘され続けてきたドイツ代表の問題点だが、世界を見渡しても、比類なき存在感を発揮するFWがいるチームの方が少ないのだ。そして、サイズに恵まれていない選手がゴールを決められない事実などない。
 
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