６月15日のエルサルバドル戦。開始50秒で久保建英（レアル・ソシエダ）のFKを頭で叩き込み、先制点を奪ったのが、谷口彰悟（アル・ラーヤン）だった。

「『結構、当たった』と思ったんですけど、ネットに入ったのは見えてなくて、周りの歓声があって、そこで見たら入ってたんで、『取っちゃった』というか『あー、代表で初ゴールを決めた』って感じはありましたね」
【動画】谷口彰悟の豪快ヘッド弾＆試合後コメント
　31歳のベテランDFは、2015年６月のイラク戦で初キャップを飾ってから８年がかりで挙げた代表17戦目の初ゴールに、感慨深さを覚えていた様子だ。

　ヴァイッド・ハリルホジッチ監督時代に数回招集され、そこから３年半空いた2021年６月に再招集され、22年カタール・ワールドカップ（W杯）参戦を叶えた谷口。先発したスペイン戦、クロアチア戦での落ち着きあるパフォーマンスには、代表の先輩である今野泰幸（南葛SC）から「ホントに安定していた」と最大級の賛辞を贈られたほどだ。

　その後、谷口はカタールへ移籍。アル・ラーヤンで15試合に出場した。チームは９位にとどまったが、自身は初の海外挑戦でプレーの幅が広がったようだ。
 

「基本的にどのチームにもフォワードには外国籍選手がいて、強烈な選手もいるので、外国人相手にバチバチやっていくところは、日本では経験できないようなことができています。ある意味、誰も助けてくれないというか、さらされている状況も多いので、対応の仕方も変化しています」

　森保一監督は代表新体制の始動にあたり、ベテラン勢をいったん外して若手にチャンスを与える意向を示し、谷口も３月シリーズは選外とされた。しかし、DF陣に関しては、冨安健洋（アーセナル）が長期離脱し、中山雄太（ハダ―スフィールド）の復帰もメドが立たないため、守備陣を引き締める存在が必要だと考え直したのかもしれない。

「当たり前のことを言い続ける、コミュニケーションを取るところで頭を休めないということを、僕は率先してやっていきたい。そういうところも森保さんに求められているんだろうなとは自分なりに理解しています」と、本人も自身のタスクを頭に入れて半年ぶりの代表活動に臨んでいるという。

　加えて言うと、今年11月には2026年の北中米W杯予選も始まるし、24年１～２月にはカタールで開催されるアジアカップもある。大舞台を視野に入れると、カタールを熟知する谷口をこのタイミングで呼び戻し、周囲との連係を確認しておくほうが得策だ。そんな狙いから、間もなく32歳になるDFの再抜擢に踏み切ったのではないか。

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