［J１第17節］川崎１－０広島／６月11日／等々力陸上競技場

　川崎は消化試合がひとつ少ないが、リーグ全体はシーズン折り返しとなる17節を迎えた。川崎は広島をホームの等々力に迎えたなか、相手のマンツーマンに近い組織的なディフェンスに苦しみながら、56分の脇坂泰斗のゴールで勝利を掴んだ。

　勝てたことが何より。その一言に尽きるゲームだろう。

　前半からビルドアップ時にCBとアンカーら各選手がマークにつかれ、足もとの技術に定評のある上福元直人がロングフィードを送っても、ボールがつながらない悪循環。

　さらに広島のボランチ川村拓夢やシャドーの森島司、エゼキエウらの積極的な飛び出しに手を焼き、苦しい時間が続いた。そのなかで、右SBの山根視来がアンカーの脇に入るなど試行錯誤を繰り返したが、なかなか奏功せず。山根はこう振り返る。

「カミくん（上福元）のところでボールを持たされている感じでしたが、言ってしまえば、ほぼほぼ相手はマンツーマンのような形だったので、僕が中に入った時は結構フリーだったので、その回数を増やして良かったのかなと思います。そんなに個人的にはプレッシャーを感じてサッカーをやっていなかったので、ボールも滑りましたし、もう少し前進できたんじゃないかなと感じました。

　それぞれに狙いがあって、カミくんは（左ウイングの宮代）大聖の裏にボールを蹴っていましたが、セカンドボールを拾う選手はどういった準備をしなくちゃいけないだとか、そういうことが必要だったはずです。

　相手も身体能力の高い選手が後ろにいるので、ロングボールを蹴らせるのが狙いのひとつだったはずです。簡単に相手ボールにするのではなく、こないなら持っていても良かったのかなと。持っている本人としてはすごく嫌な時間だったと思うのですが、他の選手がポジションチェンジすることでどこかが開いてくると思っていたので、そんなに相手に無条件に送る確率のプレーをしなくて良いんじゃないかなと、試合中、それは伝えていました。でも後半、カミくんのロングキックで大チャンスになっていたので、そこはカミくんの特徴のひとつで、チームのことばかり気にすることもないかなという想いもありました」
 

　試合中、その状況に動いたのは鬼木達監督である。前半の終盤あたりにインサイドハーフの大島僚太をボランチに下げ、中盤の形を「逆三角形」→「脇坂のトップ下＋大島、ジョアン・シミッチのダブルボランチ」に変更。ポゼッションの安定を図ったのだ。

「前半の最初のところは後ろでしっかりとつなぎながら、できるだけ少ない人数で前まで持ってきて欲しかったですが、なかなかそこが上手に運べなかったので、途中から彼（大島）をひとつ下げたような形にしました。やっぱり彼が前向きでボールを持つとひとつボールの収まりがあるので、他の選手も動きやすいというところで彼のポジションをその形にしました。

　守備のところも相手の２列目からのランニングがかなり多かったので、ジョアン（・シミッチ）とふたりで対応するところを指示しました。90分近くゲームをやれたのは彼にとっては非常に良かったと思いますし、声なんかもいろいろな形が変わっていくなかで、いい声をかけてくれたかなと思っています」

　鬼木達監督の狙いは効果的だったが、本来であれば従来の４-３-３のまま解決策を見い出せるのがベストだったのだろう。

　現に大島が下がることで、後ろでのボール回しはスムーズになったが、前への圧力は減った印象だ。大島本人も「より攻撃はしづらくなったと言いますか、（左ウイングの宮代）大聖らとの距離が遠くなってしまったので、そこから出ていく体力が自分にはないので、そういうところは申し訳ないなと感じながらプレーしていました。ただ、後ろに関しては誰が走ってこようとも、ついていく覚悟はみんなで持ってやれていたのかなと思います」と語る。

　それでも今は勝って修正できることをポジティブに考えるべきなのだろう。上福元も他の選手と口を揃える。

「（相手の対応は）想定していたなかで、練習で準備をしていましたが、予想以上に相手が動かなかったり、もっと慌てて食いつてきたりすれば、解決できる部分があったかもしれません。
　
　自分はフリーな状況が長かったのですが、ベストを見つけられなかったと言いますか、でもそのベストがもしかしたらなかった状況があれば、イーブンに近いボールで、質の部分で相手を困らせるようなボールを飛ばしてみるとか、そういう驚きで動かせたりできたら良かったです。前半は苦しんでしまったので、映像を見返して味方と共有できるようなポジティブな方向にもっていければと思います。勝ってそういう反省をできるのはポジティブではあります」


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