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アルテタ、エメリ、アルグアシル…なぜバスクから名将が輩出されるのか。日本にはリーダーが生まれる土壌があるか? 【小宮良之の日本サッカー兵法書】

カテゴリ:連載・コラム

小宮良之

2023年05月05日

日本はどの業界でもリーダーが不足している

久保の才能を開花させたレアル・ソシエダのアルグアシル監督(左)もバスク人だ。(C)Getty Images

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 国籍や地方で、監督の良し悪しは決まるものではないだろう。どの国であっても、例えば凍てつく寒い土地でも、荒涼とした砂漠でも、あるいは海辺の町でも、どこにでも名将は生まれ得る。何を持って、名将と言うのかも違う。
 
 しかし、傾向というのはある。
 
 スペインの北にあるバスク地方は、優れた監督を生み出す。
 
 海外でも、その名は轟く。ミケル・アルテタ(アーセナル)、ウナイ・エメリ(アストンビラ)、ジュレン・ロペテギ(ウルバーハンプトン)、シャビ・アロンソ(レバークーゼン)と各国トップクラブで、バスク人監督が指揮をとっている。ファン・マヌエル・リージョ、ミゲル・アンヘル・ロティーナの二人はアジア各国でも存在を示した。

 そしてスペイン、ラ・リーガ4位に躍進するレアル・ソシエダを率いるイマノル・アルグアシル監督は、日本代表久保建英の力を最大限に引き出し、攻守一体の素晴らしいサッカーで、今やリーガで名将に数えられる。また、アンドニ・イラオラはラージョ・バジェカーノでスペクタクルなサッカーを体現しているし、ハゴバ・アラサテは伏兵オサスナを1部上位に引き上げ、ガイスカ・ガリターノはかつて乾貴士が在籍したエイバルを率いて現在2部で首位を争う。

 バスク人監督、全盛だ。

 アスレティック・ビルバオを率い、かつてはFCバルセロナでタイトルもとったエルネスト・バルベルデ監督も、“バスク人”と括れるだろう。幼少期からバスクで育ったことで、純血主義を掲げるアスレティック・ビルバオの下部組織で過ごし、「バスク人よりもバスク人」と言われるメンタリティの持ち主だ。
 
 バスク人は質実剛健を尊び、勤勉で、真面目で、規律正しい。組織を重んじる社会性はあるが、ボスに対しては決断と統率を求めるだけに、自然とリーダーシップのある人物が上に立つ。年長者だから、というような儒教的な精神はない。はっきりとリーダーの輪郭ができあがり、ふさわしくない人物は自動的にそぎ落とされる。

 つまり、バスクという土壌によって真のリーダーが生まれ育てられるのだ。
 
 では、日本にはリーダーが生まれる土壌はあるだろうか?
 
 単刀直入に言って、日本はどの業界でもリーダーが不足している。サッカー界では深刻だろう。監督もそうだが、監督を選定するスポーツディレクターやGMのようなポジションの人材も芳しくない。親会社の出向や「サッカー界に長く携わってきた」というだけで居座っている場合も多く、それでチームを率いるリーダーとなる監督を選べるわけがないだろう。

 日本サッカーは歪になりつつある。選手は自主性を持ち、能動的に行動できるようになった。一方で、統率し、決断できる監督が出てこなかったら…続々と欧州に進出する選手との間に断絶が生じるだろう。

文●小宮良之

【著者プロフィール】
こみや・よしゆき/1972年、横浜市生まれ。大学在学中にスペインのサラマンカ大に留学。2001年にバルセロナへ渡りジャーナリストに。選手のみならず、サッカーに全てを注ぐ男の生き様を数多く描写する。『選ばれし者への挑戦状 誇り高きフットボール奇論』、『FUTBOL TEATRO ラ・リーガ劇場』(いずれも東邦出版)など多数の書籍を出版。2018年3月に『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューを果たし、2020年12月には新作『氷上のフェニックス』が上梓された。

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