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「ペレがいなければジョーダン・ブランドは生まれていなかった」「国家を動かす力も持っていた」“サッカーの王様”は何が偉大だったのか

カテゴリ:ワールド

リカルド・セティオン

2023年03月07日

ペレの訴えでイエロー等の「カード提示ルール」が誕生

昨年12月29日に惜しまれながらこの世を去ったペレ。彼の何が偉大だったのか。 (C)REUTERS/AFLO

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 2022年12月29日、サッカーの王様がこの世を去った。本名エドソン・アランテス・ド・ナシメント、通称ペレ。数々の逸話と伝説を残してきたレジェンドの、はたして何が特別だったのか。旧知のジャーナリストが、その偉大なる功績を偲ぶ追悼文だ(前編)。
 
 
――◆――◆――
 
 ペレは常に比較対象だった。
 
 ヨハン・クライフ、フランツ・ベッケンバウアー、ジーコ、ミシェル・プラティニ、ディエゴ・マラドーナ、ロベルト・バッジョ、ジネディーヌ・ジダン、クリスティアーノ・ロナウド、リオネル・メッシ。とんでもない才能を持ったスーパースターが現われるたびに、こんな論争が繰り返された。
 
「〇〇はペレより上か」
 
 はっきり言っておこう。ペレを超越するサッカー選手などこの世に存在しない。これは同胞のバイアスでも、個人的な贔屓目でもない。目の前の「現実」がそう語っているのだ。
 
 ペレは生涯で1283ゴールを決めている。この記録は引退から40年以上が経ったいまも、近づくことすら許さず超然と屹立している。なにしろ2位以下とは400ゴール以上もの大差がついているのだ。ハットトリックは92回。ブラジル代表での77ゴールも歴代最多だ。カタール・ワールドカップ(W杯)でネイマールがこの記録に並んでいるが、試合数が違いすぎる。92試合のペレに対し、ネイマールは124試合でようやくそこに辿り着いた。
 
 時代が違うと、ペレの記録を軽んじる者もいる。現代のサッカーはよりスピーディーかつフィジカルで、プレーするのが難しいと。ならばこう反駁しよう。ペレの時代のボールは牛革製で1・3キロの重さがあった。シューズも木製のスタッドを釘で止めた作りで1・2キロと重かった。速乾性の素材が開発されるはるか以前のユニホームは、前半が終わる頃には汗でぐっしょりと濡れて身体に重くまとわりついた。おまけにピッチはジャガイモ畑よろしく穴だらけだった。
 
 さらに当時のチームメイトは多くがセミプロで、マッサーやフィジカルトレーナーなどもいなかった。なにより、イエローカードとレッドカードが制度化される前で、ペレは横行するラフプレーの餌食になっていた。カードの提示がルールとして決まったのは、まさにペレが訴えたからだ。
 
 科学的なトレーニングを積み、サプリを飲み、バランスの取れた食事をし、スポンサーから支援を受け、ハイテクのユニホームとシューズを身につけ、同じようにハイレベルなチームメイトに助けられながらプレーしているメッシが、それでもペレの記録にはるか及ばないのだ。
 
「ペレより上」の論争を常に仕掛けてくるのがアルゼンチンだ。彼らは何かにつけてブラジルに対抗意識を燃やしてくるが、わけてもサッカーにおける敵愾心は特別だ。重要な勝利を収めたアルゼンチン代表は、必ずロッカールームでブラジルを揶揄する歌を大合唱する。倒した相手がブラジルではなくてもだ。
 
「泣いて、泣いて、ブラズーカ(ブラジル人)! アルゼンチンの勝利を受け入れろ」
 
 アルフレッド・ディ・ステファノはペレより上か、オマール・シボリはどうだ? マラドーナは? メッシは? アルゼンチン人にそんな質問を繰り返されて、ペレもほとほと嫌気が差したのだろう。あるときこう言い放った。
 
「まずは君たちでこの4人の誰が一番かを決めてくれ。それから改めて質問を聞こうじゃないか」
 
 ブラジル人にしてみれば、マラドーナだろうと誰だろうと、ペレと比べるのは笑止千万だ。なにしろペレは、ひとりでアルゼンチンと同じ数だけW杯を制覇しているのだ。
 
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