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J3讃岐は来季、“骨太なチーム”に。米山篤志新監督のビジョン「プレーモデルを確立し、選手たちの個性で肉付け」

カテゴリ:Jリーグ

郡司 聡

2022年11月22日

代行で指揮を執った水戸戦で心境に変化

讃岐の新監督の就任した米山。「アグレッシブで一体感のある集団を作っていきます」と意気込み。(C)FCMZ

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 11月22日、J3のカマタマーレ讃岐は2023シーズンのトップチーム監督に、米山篤志の就任を発表した。Jクラブで指揮を執るのは自身初となる46歳は、いかなる想いで新たなキャリアをスタートさせるのか――。

――◆――◆――

 FC町田ゼルビアのランコ・ポポヴィッチ監督が累積警告によるベンチ入り停止だった今年7月6日の水戸戦。 

 監督代行として指揮を執った米山コーチは、2-0からの逆転負けを突きつけられる試合終了のホイッスルを耳にすると、心の底からフツフツとある感情が湧き起こっていることに、ハッと気がついた。
 
「ピッチの一番近い場所で選手たちと一緒に戦いたい」  

 2017年から3年間、川崎フロンターレでコーチを務め、町田に新天地を求めた時は「監督がやりたいと口が裂けても言えなかった」。それでも、水戸戦を終えた際の心境は違った。

「インプットの日々だった」川崎での3年間を経て、町田では「アウトプットの日々」。ポポヴィッチ監督から任されていたトレーニングのパートでは、選手たちが自分の指導に呼応する姿にやりがいを感じていた。

 そして町田3年目の夏。監督代行として指揮を執った水戸戦が、自らの手で用兵のタクトを振りたい気持ちに拍車を掛け、「監督の立ち位置で勝負したい気持ちが芽生えた」という。
 
 前述の水戸戦を挽回するチャンスがないことに、後ろ髪を引かれる思いでいたさなか、 四国のJ3クラブから監督就任のオファーが届いた。 

 縁のない讃岐と米山を結びつけた人物は、現役時代に名古屋でチームメイトだった竹内彬強化担当。米山が新監督の最終候補に挙がると、現地で池内秀樹社長との面談が待っていた。

 クラブの要人との席に臨む米山は、過度に緊張することなく、その場に座った。クラブのトップに対して、ありったけの情熱を伝えると、別れ際には固い握手を交わした。それは讃岐の米山篤志新監督、誕生の瞬間だった。

「これまで培ってきた経験と情熱のすべてを捧げたい。讃岐の選手たちと共に真剣勝負を挑んでいく覚悟が決まった」

 いつもは冷静沈着な米山も、この時ばかりは興奮を隠し切れなかった。 

 川崎で国内トップレベルの基準を目の当たりにした米山は、川崎でインプットした基準を町田に還元してきた。

 ポポヴィッチ監督から託された攻撃練習のパートでは、「フリーの概念を変える」(町田・奥山政幸)ボール保持における新たな価値観を植え付けた。「1対1の状況でもパスをつけてサポートに入れば、2対1になるから、サポートに入っていけば問題ないという新しい見方を与えてくれました」とは奥山の弁だ。 

 一方でボールを掌握していない際の局面では、1年目から相手に合わせた守備の部分を構築。立ち位置によって、複数の相手選手に制限を掛けるアプローチなどを町田に落とし込んだ。

 代表的な例である、背中で相手を牽制するポジション取りの習得は、現代サッカーにおけるマスト事項の1つ。町田では主に2列目のポジションを担ってきた平戸太貴は、米山の指導によって「1人で2人、3人を見る守備」を習得した。
 
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