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夏の大舞台で味わった悔しさを糧に。課題克服に励んだU-16代表CB山田佳は、アジアの戦いで“新しい自分”と出会えるか

カテゴリ:日本代表

松尾祐希

2022年10月05日

自宅のトレーニングマシーンを使い、上半身や下半身を強化

実力も身長も伸び盛りの山田。左足のキックが持ち味のCBだ。写真:松尾祐希

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 サッカー一家で育った左利きのCBが飛躍のきっかけを掴むべく、アジアの戦いに身を投じている。

 10月1日に開幕したU-17アジアカップ予選。森山佳郎監督が率いるU-16日本代表は3日に初戦でU-16フィリピン代表と対戦し、敵の堅守に苦しみながらも3−0で勝利を掴んだ。

 5チームの総当たり方式で争われる今予選は1位もしくは各組2位の上位6チームに入らなければ、来年秋のU-17ワールドカップ予選を兼ねる本大会に出場できない。最後の2試合にライバルと目されるU-16シリア代表(7日)、U-16ヨルダン代表(9日)とのゲームが控えているだけに、5日に行なわれるU-16トルクメニスタン代表との第2戦は勝利が必須となる。

 森山監督は中1日の連戦を考慮し、ターンオーバーの可能性を示唆しているなかで、モチベーションを高めているのが前橋育英高のDF山田佳(1年)だ。

 左足のキックが持ち味のCBで、177センチの身長もまだ伸び盛り。底知れないポテンシャルを秘めており、松田直樹など幾多のJリーガーを育ててきた前橋育英の山田耕介監督も今後の成長に期待を寄せている。

「佳は良い。今後の伸びしろがすごくある。5月にルーマニア遠征に行って、その後、7月にもう1回代表合宿で身長を測ったら、1.7センチぐらい伸びている。最終的には185センチぐらいまで伸びてもおかしくない。感覚も持っているので楽しみ」

 入学前の3月下旬に行なわれたサニックス杯からトップチームに帯同。シーズン開幕後もU-18高円宮杯プレミアリーグEASTで出場機会を掴み、5月のルーマニア遠征で初めてU-16日本代表に招集された。
 
 その後も継続して代表に名を連ねた一方で、チームでは出番を失い、インターハイが始まる直前にトップチームから外れてしまう。しかも、その夏の大舞台で先輩たちが日本一を獲得。

「インターハイ前に1年生チームに落ちて、群馬からインターハイの試合を見ていました。自分もそのステージで試合に出たかったし、そこで一緒に優勝していれば、自分の名前も多少なりとも売れていたと思うので……」と本人も悔しさを滲ませ、課題だった守備能力やフィジカル面の向上に励んできた。

 自宅に用意されたトレーニングマシーンを使い、上半身や下半身を強化。普段の練習でもプレー強度やジャンプのタイミングなどを徹底的に磨き、苦手な空中戦や対人プレーと向き合ってきた。

 そうした努力を重ね、日の丸を背負ってアジアの舞台で戦う機会を掴んだ今回の予選。チームとして泥臭く戦うことをテーマに掲げており、自身の成長を確かめるうえでも今予選は格好の場となる。

「この予選は自分が成長するための糧の一つにしたい」とは山田の言葉。父は前橋商高でプレーし、2人の兄と妹、弟もボールを蹴っているサッカー一家で育った男は、今までの自分を払拭するべく、タフに戦いながら新しい自分と出会うためにアジアの戦いに挑む。

取材・文●松尾祐希(フリーライター)

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