【リバプール番記者が独白】ロジャース解任とクロップ招聘の舞台裏

カテゴリ:ワールド

ジェームズ・ピアース

2015年10月11日

クロップが現場復帰に前向きになったことで事態が急変した。

契約翌日の10月9日には本拠地アンフィールで就任会見に臨んだクロップ。名門リバプールを復活させられるか。(C)Getty Images

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 10月4日にブレンダン・ロジャースを更迭し、その4日後にはユルゲン・クロップを後任に据えたリバプールの監督人事。その舞台裏を地元紙『リバプール・エコー』紙の番記者、ジェームズ・ピアースに語ってもらった。
 
――◆――◆――
 
 ロジャース政権の雲行きが悪くなったのは、8月29日のウェストハム戦の後だったから、しばらく前のことになる。0-3で敗れたあの試合は本当に酷い内容だったけど、それでも、こんなに早くクラブが結論を出すとは思っていなかった。クラブ関係者の中からも、驚きの声が上がっていたほどさ。
 
 しかし、いま改めて考えれば、9月12日のマンチェスター・ユナイテッド戦を1-3で落として、一気に追い込まれたことになる。その直後にクラブ経営陣と話す機会があって、あの時点でその後の行方をある程度は決めていたように感じる。
 
 なぜなら、ちょうどその頃に第三者を通じて「クロップが監督業を再開する気らしい」という情報を入手したからだ。これこそが、ロジャース解任に向けて一気に物事が始動した最大の理由だった。
 
 チームの低調な結果とパフォーマンスが、ロジャース解任の直接的な原因となったのは確かだ。しかしながら、クロップを逃がしたくないクラブ上層部が、「この機会を絶対に見過ごしてはいけない」と捉えたことが、監督交代劇の最大の要因と言っていいだろう。
 
 昨シーズン限りでドルトムントを離れたクロップは、「すぐに新しい仕事をするつもりはない」と公言していた。だから9月中旬になるまで、リバプールもそれを信じ込んでいた。でも、クロップが現場復帰に前向きという情報が入ったものだから、早急に手を打つことにしたんだ。
 
 今回の人事において最大の重要人物は、マイク・ゴードンだろう。オーナーであるFSG(フェンウェイ・スポーツ・グループ)では、ジョン・W・ヘンリーとトム・ワーナーに次いで権力を持つ彼は、この3人の中で最もリバプールに近い。ヘンリーとワーナーはボストン・レッドソックスなど他のFSG事業に従事しているのに対して、ゴードンはCEOのイアン・エアーとともにリバプールの運営に注力しているんだ。
 
 このゴードンのサポートがあったからこそ、ロジャースは昨夏の解任を免れることができた。でも、ゴードンはロジャースに対する信頼が急落している最中に、前述のクロップの情報が入り、事態は急変したというわけだ。
 
 本来であれば、昨夏の時点でロジャース解任が最も自然の流れであり、ファンの大多数もそれを期待していた。それでも解任しなかったのは、上層部が納得するような適切な後任が見つからなかったからだ。
 
 逆に言えば、6月の時点でクロップが仕事を探していれば、ロジャースは解任されていただろう。そんな状態だったから、今回も即断されたんだ。
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