【川崎】珍しき5バックでの逃げ切り。逆転優勝へ鹿島戦で得た勝点3の意味

カテゴリ:Jリーグ

本田健介(サッカーダイジェスト)

2022年08月28日

苦しい時間が続くも…

勝利を喜ぶCBコンビの谷口とジェジエウ。後半は鹿島の猛攻を受けるもしっかり勝ち切った。(C)SOCCER DIGEST

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[J1第27節]川崎2-1鹿島/8月27日/等々力陸上競技場

 試合の入りは素晴らしかった。

 逆転優勝へ勝ち続けるしかない川崎は、リーグ戦では首位の横浜を下した24節から2連勝中と、この日もその勢いを生かしたと言えるのだろう。

 同じく首位の横浜を追う鹿島との直接対決は、落とすことができない重要な一戦だ。高いモチベーションが表われるような強度の高いプレッシングで鹿島を押し込み、柔軟なポジショニングをベースにポゼッションでチャンスを作る。

 5分には右サイドのトライアングル、脇坂泰斗、山根視来、家長昭博がつなぎ、家長が相手ペナルティエリアの右をドリブルで持ち上がると、鹿島のピトゥカに倒されてPKを獲得。これを家長自身が決めて先制に成功した。

 さらに14分には左サイドでマルシーニョが獲得したFKを、脇坂がテクニカルなグラウンダーのキックで流し込み追加点。その後も相手のミスからマルシーニョ、CKからジョアン・シミッチが決定機を迎えた。

 ただ3点目を奪えずにいると、徐々に鹿島に攻め込まれる時間が増えていく。後半はさらに流動的な鹿島の動きを抑えきれず、52分には右からのクロスを仲間隼斗に頭で合わされて1点差に詰め寄られた。

 その後も苦しい時間帯が続く。ハイボールを送られていた左サイドでは、登里享平に代えてより高さのある車屋紳太郎を投入し、その直前あたりからは4-3-3の中盤を逆三角形からダブルボランチに変えたようにも映る。さらに72分には戦列復帰戦となる大島僚太や、遠野大弥を入れて、攻撃の形を再度構築しようと試みたが、なかなか前に出られない。

 すると試合終了間際の90分には鬼木達監督は最前線からCBまでこなせるポリバレントな山村和也を投入。最終ラインの中央に山村を置く5バックに変更して逃げ切りを図り、ゲームを2-1のまま締めたのだ。
 
 この5バック、そしてゲーム内容。考えさせられる部分が多い一戦だった。

 今更ながら、川崎は攻撃を主体に相手を押し込むことで守備のリスクを減らしてきたチームである。それだけに、後半は押される時間が続き、川崎としては珍しい最後は5バックにして逃げ切った点は、“らしさ”という視点では小さくない課題が残った。

 一方で逆転での3連覇へ決して負けられない一戦である。しかも、8月10日のルヴァンカップ準々決勝・第2戦では、等々力で同様の展開からC大阪にラストプレーで同点に追いつかれた苦すぎる経験があった。その反省を生かした点では、前進と捉えられるだろう。

 内容と結果。小さくないギャップが生じたゲーム。それでも試合後に鬼木監督にその点を投げかければ、前向きな言葉が返ってくる。

「2-0になった時点でもっと3点目、4点目を取れる状況を作り出さないといけなかったと思います。実際チャンスがなかったわけではないですが、そこのところで2点を守るのではなくて3点目を取りにいく姿勢だとか、あとは単純にボールを動かす時間と言いますか、敵陣でやる時間が短くなってしまったので、そこは改めて3点目を取りにいくために必要だと思っています。ボールをしっかり動かすために、全員が顔を出すという、当たり前のことですが、その作業をもう1回やりたいです。

 ただ、その中でも常々選手にもそうですし、自分にも言い聞かせているのは、勝ちながら成長したいという思い、それは変わらないです。そういう意味で言うと今日最後(最終ラインを)5枚にしましたが、前日のトレーニングでは4枚で、最後ああいう形(パワープレー)があるのではないかと練習しましたが、実際最後は5枚のほうがいいだろうということで、言ってしまえば(練習で)やってない形でトライをしました。その時その時で感じたことを自分もピッチに表現したいですし、選手もそれに応えてくれたと思っています」

 そしてC大阪戦の反省を生かせたかという問いには、指揮官はチームの成長を強調した。

「あると思います。選手も最後、時間の使い方をすごく意識していましたし、実際そういう声が中でかかっていました。そういう意味で言うとそこは進んだかなと思っています。もっともっとできますけど、それでもこういう力のあるチームに対して、彼らがああいうことをできたというのは、次につながると思っています」

【J1第27節PHOTO】川崎2-1鹿島|家長&脇坂のゴールで逃げ切った川崎が3連勝!
 
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