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「18年間、みなさんに誇りを与えられたかな」涙が止まらなかったミスター・ウェストハムの引退セレモニー【英国人記者コラム】

カテゴリ:ワールド

スティーブ・マッケンジー

2022年07月22日

伝統の「アプレンティス精神」を忘れなかった

18年の現役生活に終止符を打ったノーブル。イングランドの伝統的なフットボールカルチャーを肌で知る最後の世代だろう。 (C)Getty Images

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 それは、ひとつの時代の終わりを告げているようだった。
 
 ウェストハムのマーク・ノーブルが引退した。これがラストイヤーと意思を固めて戦った2021-22シーズンを終え、18年の現役生活に終止符を打った。35歳のベテランMFは、イングランドの伝統的なフットボールカルチャーを肌で知る最後の世代だろう。
 
 1987年生まれのノーブルが経験しているのは、「アプレンティス」と呼ばれる、いわゆる修行時代だ。プロ見習いとして先輩のスパイクを磨き、更衣室を掃除しながら研鑽を積むのが、イングランドに脈々と受け継がれてきた伝統だった。プロになってからも、ノーブルはアプレンティス精神を忘れなかった。練習後や試合後にひとり残り、用具係や清掃スタッフを手伝ってドレッシングルームの後片付けや掃除をした。
 
 ユース時代からウェストハム一筋を貫いた。デビュー2年目と3年目に短期レンタルに出て、それぞれハルとイプスウィッチでプレーした計4か月間を除けば、13歳でアカデミーに加入してからずっと「クラレット&ブルー」のユニホームだけを身に纏った。ひとつのクラブでプロ人生を全うする選手は、プレミアリーグではノーブルが最後かもしれない。

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 旧本拠地アプトン・パークから目と鼻の先のキャニング・タウンという町で生まれ、ウェストハムのファンとして育った、文字通りのローカルボーイだ。ただ、11歳で見出されたのはアーセナルにだった。下部組織に入り、自宅のあるイースト・ロンドンからアーセナルのノース・ロンドンまで通った。

 毎日、父親が車で送り迎えした。しかし、仕事で忙しい父親にとって連日の送迎は小さくない負担だった。13歳でウェストハムのアカデミーに移ることになったのは、そんな事情があったからだった。
 
 ウェストハムでは15歳でリザーブチームにデビューした。これはクラブの最年少記録だ。トップチームにデビューしたのは17歳。ただ、当時のチームはチャンピオンシップ(2部)を戦っていて、プレミアリーグ・デビューは翌05-06シーズンの開幕戦、05年8月13日のブラックバーン戦だった。84分の交代出場でピッチに立った。それからプレミアリーグの出場はクラブ歴代最多の414試合に達した。公式戦通算は550試合で、これは歴代6位だ。
 
 欧州カップ戦の出場は、21-22シーズンのヨーロッパリーグ(EL)が最初で最後だった。予選で2ゴール、グループステージで1ゴールを挙げ、ベスト4進出の力になった。フランクフルトとの準決勝を前にしたコメントが粋だった。ELで優勝すれば翌シーズンのチャンピオンズ・リーグに出場できる。優勝したら引退を撤回するかと記者に問われると、笑顔でこう返した。
 
「そうなれば最高だね。でも、撤回はしない。(ELの)優勝トロフィーを隣の席に置いて観戦を楽しむよ!」
 
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