U-19日本代表は４月27日、同24日から続くトレーニングキャンプの最終日で関東大学選抜（U-20）と45分×３本のトレーニングマッチを行ない、２-５で敗れた。

　試合では、U-19のひとつ上の世代で、2002年生まれを主体とする関東大学選抜に経験値の高さを見せつけられた。

　１本目は、MF田村蒼生（筑波大２年）と、MF安斎颯馬（早稲田大２年）に得点を許し０-２。２本目は、松本のFW横山歩夢が一矢報いるものの、安斎、DF松本太一（桐蔭横浜大２年）、MF熊取谷一星（明治大２年）にゴールを決められ１-３。３本目は横山のこの日２ゴール目で１-０としたものの、トータルスコア２-５の完敗だった。

　U-19代表と大学選抜の差は何だったのか。フィジカルの強さや球際の強度は確かに大学選抜に一日の長があったが、大きかったのは気持ちの差だったのかもしれない。それは試合後のコメントからもうかがえた。

　先制ゴールを奪った田村は、「相手は自分たちの１個下なので負けてられない。（U-19代表には）プロが多いけど、大学の力を見せてやろうと思いました。（ゴールシーンについては）今年に入って振り抜くことを意識していて、それがひとつの形になったと思います」と語る。

　また、青森山田高時代に99回全国高校選手権大会で得点王となり、昨季は進学先の早稲田大で19試合に出場し、６ゴール・２アシストで関東大学リーグ１部の新人賞に輝いた安斎は、こう明かした。

「いちサッカー選手として、負けちゃいけないというプライドはありました。負けたくない気持ちが強かったので、勝てて良かったです」
 

　局面ではU-19代表も決して引けを取らなかった。１本目では、初めて世代別代表に参加し、左サイドで出場した古川陽介（磐田）のドリブルは通用し、ボランチの藤原健介（磐田）のスルーパスから千葉寛汰（清水）が抜け出してビッグチャンスも迎えた。

　２本目では、DF田中隼人（柏）のフィードや、左SBの溝口修平（鹿島）のインナーラップなど後方からのビルドアップも安定し、鈴木章斗（湘南）と横山の２トップは度々相手の背後を取る鋭い動きを披露した。

　個の部分では年上の大学選抜に対抗できていた一面もあったが、ゲーム全体としては、相手の勢いに押され、思うような試合運びとはならなかった。

【独自動画】Ｕー19日本代表がトレーニングマッチで関東大学選抜に大苦戦…古川陽介や横山歩夢は躍動

　U-19の冨樫剛一監督は試合後にこう振り返った。

「この年代の課題でもある、ゲーム時間の少なさもあって、通常は45分×２本でしたが、関東大学選抜さんにお願いして３本やってもらいました。強度の高い試合の中で、選手たちがどういう反応をするのか。ゲーム対応を含めて見させて頂きました」

　さらに、「いくらトレーニングが上手くても、ゲームで何ができるのか。自分たちが気持ちよくサッカーをしている時は良いけれど、そうでないことのほうが多いなか、技術、戦術以外の部分での強いもの、日々の戦いの部分が表われていたのかなと思います」という。

　その一方で、「（今回初招集の）新しい選手たちが思っているよりもしっかりと『自分たちがこういう選手だ』ということを出してくれた。それがチームにとってプラスになるとアピールしてくれて、収穫もあったと思っています」と明かした。

　U-19代表は、５月19日から６月12日までフランスで開催される第48回モーリスレベロトーナメント（旧・トゥーロン国際大会）に出場。その後９月には、U-20アジアカップ予選を控えている。

　国際大会の舞台で、この日目の当たりにした先輩たちのような闘志あふれるプレーを披露できるか。

【独自映像】U-19日本代表のトレーニングを潜入取材！

取材・文●渡邊裕樹（サッカーダイジェスト編集部）