「勝ててなくてスタンドに行くときは複雑な気持ちばかりだった」
何度も、何度もピークを迎える万雷の拍手がスタジアムに響く。今季初めての凱歌が流れ、サポーターは喜色満面。勝利の立役者になった河田篤秀が目の前の光景に胸を熱くする。
「今年に入って勝ててなくてスタンドに行くときは複雑な気持ちばかりだった。喜んでいるサポーターを見て、そのときは一番うれしい気持ちがわき上がった」
J2リーグ唯一の未勝利で迎えた千葉戦を2−1で競り勝ち、10試合目にしてやっと手に入れた初白星だ。希薄になりつつあった戦う姿勢を取り戻し、スタートから鋭い出足でプレッシャーに出て行った。懸ける思いがプレーにあらわれ、サポーターの応援も熱を帯びる。
そして、9分。河田が相手の隙を見逃さずに高い位置でボールをさらうと、そのまま左足で流し込んだ。河田は「ラッキーな形で取れた。僕の奪えたところがGKに近く、バタついているのが見えた」と落ち着いて決め切った。
さらに、68分。小野雅史がプレスを掛けたことでズレた相手のパスを柴山昌也が拾って河田へ。河田は追走する千葉の田口泰士に競り勝ち、チャン・ミンギュの股の間にボールを通すテクニックを披露。エリア内に侵入して左足を振り抜き、ボールは右ポストに当たって左ネットを揺すった。
エースの力量を存分に見せつけられたのは仲間の援護があってこそ。前節の甲府戦後、河田と大山啓輔はお互いの意見をすり合わせていた。大山は言う。
「河くんはクロスの入り方がうまいところ、一瞬の動き出しで相手を外すところ、ゴール前のシュートのところ(が良さ)なので、できるだけゴール前でプレーをしてもらいたい、できる環境をつくりたい」
千葉戦は大山や矢島慎也が河田のために奔走。ボール保持に長ける自分たちの持ち味を一旦封印し、「距離感やパスを出す場所というところで僕を生かすプレーをしてくれた」と河田。また、河田も攻撃だけでなく、守備でも身体を張り続けた。
「今年に入って勝ててなくてスタンドに行くときは複雑な気持ちばかりだった。喜んでいるサポーターを見て、そのときは一番うれしい気持ちがわき上がった」
J2リーグ唯一の未勝利で迎えた千葉戦を2−1で競り勝ち、10試合目にしてやっと手に入れた初白星だ。希薄になりつつあった戦う姿勢を取り戻し、スタートから鋭い出足でプレッシャーに出て行った。懸ける思いがプレーにあらわれ、サポーターの応援も熱を帯びる。
そして、9分。河田が相手の隙を見逃さずに高い位置でボールをさらうと、そのまま左足で流し込んだ。河田は「ラッキーな形で取れた。僕の奪えたところがGKに近く、バタついているのが見えた」と落ち着いて決め切った。
さらに、68分。小野雅史がプレスを掛けたことでズレた相手のパスを柴山昌也が拾って河田へ。河田は追走する千葉の田口泰士に競り勝ち、チャン・ミンギュの股の間にボールを通すテクニックを披露。エリア内に侵入して左足を振り抜き、ボールは右ポストに当たって左ネットを揺すった。
エースの力量を存分に見せつけられたのは仲間の援護があってこそ。前節の甲府戦後、河田と大山啓輔はお互いの意見をすり合わせていた。大山は言う。
「河くんはクロスの入り方がうまいところ、一瞬の動き出しで相手を外すところ、ゴール前のシュートのところ(が良さ)なので、できるだけゴール前でプレーをしてもらいたい、できる環境をつくりたい」
千葉戦は大山や矢島慎也が河田のために奔走。ボール保持に長ける自分たちの持ち味を一旦封印し、「距離感やパスを出す場所というところで僕を生かすプレーをしてくれた」と河田。また、河田も攻撃だけでなく、守備でも身体を張り続けた。
チームが迷いなくプレーできたことも大きい。
今季はディフェンスラインからボールを動かしながら前進していく狙いがあったものの、ビルドアップのところで勝敗を分けるミスが続いていた。その流れを食い止めようと前線へのパスも選択肢として導入。しかし、動かすか、蹴るか。統一し切れていないシーンが見られた。
千葉戦は割り切り策を徹底した。大橋尚志が解説する。
「この前の試合でも自陣でボールをロストして、失点につながる場面があった。今までの試合でもそういう場面があったので、チームとして今週の頭から自陣でのボールロストをなくそうと、シンプルに裏を使ったり、相手を後ろ向きにすることを合わせながらやってきた。受ける選手たちもまず足もとよりは裏の意識があった。出し手側も第一優先は相手の背後、相手を後ろ向きにする意識でやっていた」
それは河田をより生かすことにもつながった。河田は「僕はそんなにうまい選手ではない。ただ、ゴール前では相手の脅威になる自信がある」と話す。「できるだけゴールに近い位置でボールを触ることができれば、得点のチャンスが増えるのは僕もチームもわかっている」
今季はディフェンスラインからボールを動かしながら前進していく狙いがあったものの、ビルドアップのところで勝敗を分けるミスが続いていた。その流れを食い止めようと前線へのパスも選択肢として導入。しかし、動かすか、蹴るか。統一し切れていないシーンが見られた。
千葉戦は割り切り策を徹底した。大橋尚志が解説する。
「この前の試合でも自陣でボールをロストして、失点につながる場面があった。今までの試合でもそういう場面があったので、チームとして今週の頭から自陣でのボールロストをなくそうと、シンプルに裏を使ったり、相手を後ろ向きにすることを合わせながらやってきた。受ける選手たちもまず足もとよりは裏の意識があった。出し手側も第一優先は相手の背後、相手を後ろ向きにする意識でやっていた」
それは河田をより生かすことにもつながった。河田は「僕はそんなにうまい選手ではない。ただ、ゴール前では相手の脅威になる自信がある」と話す。「できるだけゴールに近い位置でボールを触ることができれば、得点のチャンスが増えるのは僕もチームもわかっている」