浦和の優勝セレモニーでは、サポーターからの痛烈なブーイングを浴びたが、それがむしろ、今季の検証と情報開示への決意を強くさせたという。
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――まずは第1ステージの戦いを振り返って、チェアマンとしてどのような感想を持っていますか?
「浦和の無敗優勝は素晴らしい結果でした。データを見ても昨年比でショート、ミドル合わせて1秒間で73センチもパススピードが速くなり、スピード感のあるサッカーで最多得点も奪いました。ファーストステージを大いに盛り上げていただきました」
――11年ぶりに「2ステージ制」が復活し、優勝争いが繰り広げられた影響か、17節までのリーグ全体での入場者数は昨季に比べて増えています(本誌調べの下表を参照)。
「今、我々もいくつかの観点から分析をしているのですが、昇降格したクラブを除いた同一条件下で入場者数を比較すると、17節終了時点で昨年比約108パーセント。1万7000人台だった1試合平均入場者数は、1万9000人台まで上がってきている。これは2ステージ制にしたことが少なからず影響していると思います。
また、Jリーグを全試合放送していただいているスカパー!の加入件数は、熱心なサポーターの動向を示す重要な指標として捉えておりますが、2013年、2014年はリーグが開幕する3月に加入件数が上がった後は、4月、5月と下降気味でした。しかし今年は3月、4月、5月と右肩上がりとなっています。ファーストステージが終わる6月末に向けて良い傾向となっています」
――2ステージ制を導入する際に期待していたとおり、1年間のなかで山場を3回作れる手応えがあると?
「まだファーストステージが終わっただけですからね。シーズン終了後に改めて総括する必要がありますが、今出ている数字は、もともと集客力の高かった浦和が無敗で首位を走った影響が大きかったのかもしれないし、FC東京は武藤選手の欧州移籍という話題性が影響したのかもしれません。すべてを正確に語れるものではないですが、現段階で見れば、当初想定していた枠の中で推移していると思います」
――メディアへの露出の点では、浦和の優勝が決まる可能性があった15節の清水戦、優勝が決まった16節の神戸戦とも地上波でのテレビ中継はありませんでした。ライト層を多く取り込むことを目指すなかで、この状況をどのように捉えていますか?
「新規のファンの方に観ていただくうえで、メディアを通じて気軽にサッカーに触れていただく機会を増やすことを当初から重視していましたが、それは『フルマッチ映像』だけでなく様々な番組へ露出することでJリーグに接する入口を増やすということも含みます。ステージ終盤の3試合の、地上波テレビにおけるJ1の露出を昨年と今年で比較したところ、ニュースなどのダイジェスト映像を含めて計測すると、昨年の約2.3倍になっていました。新聞も記事の件数で昨年比で18パーセント増えています。そういう意味では、Jリーグを知ってもらうということに関しては、より多くの人に届けることができたと言えます」
――しかしそれでも、地上波でのテレビ中継を求める声はありますし、影響力は大きいと感じます。
「もちろん、我々も地上波で放送いただくことを望んでいますし、努力を続けていかなければなりません。一方で、プロスポーツである以上、やはりお金を払って観ていただけるファンをいかに増やすかが最大のテーマになります。スタジアムに足を運んで観ていただく、あるいは有料放送を観て楽しむことを文化として定着させる努力も、継続していきたいと思っています」
2014、2015年J1在籍15クラブの17節終了時のホームゲーム入場者数比較(本誌調べ)
クラブ名 | 2014 | 2015 | 1試合平均の 増減数 |
||||
開催数 | 総入場者数 | 1試合平均 | 開催数 | 総入場者数 | 1試合平均 | ||
浦和 | 7 | 256,622 | 36,660 | 7 | 289,038 | 41,291 | 4,631 |
FC東京 | 7 | 154,949 | 22,136 | 8 | 248,540 | 31,068 | 8,932 |
横浜 | 6 | 141,604 | 23,601 | 8 | 197,413 | 24,677 | 1,076 |
川崎 | 8 | 132,619 | 16,577 | 7 | 138,260 | 19,751 | 3,174 |
新潟 | 8 | 187,292 | 23,412 | 7 | 135,107 | 19,301 | -4,111 |
神戸 | 7 | 103,831 | 14,833 | 8 | 147,569 | 18,446 | 3,613 |
G大阪 | 6 | 85,754 | 14,292 | 7 | 111,456 | 15,922 | 1,630 |
鳥栖 | 6 | 88,477 | 14,746 | 7 | 107,805 | 15,401 | 655 |
広島 | 8 | 120,680 | 15,085 | 7 | 107,601 | 15,372 | 287 |
清水 | 7 | 99,810 | 14,259 | 6 | 89,113 | 14,852 | 593 |
仙台 | 8 | 109,939 | 13,742 | 8 | 117,486 | 14,686 | 944 |
名古屋 | 7 | 113,220 | 16,174 | 6 | 87,644 | 14,607 | -1,567 |
鹿島 | 5 | 69,137 | 13,827 | 6 | 73,805 | 12,301 | -1,526 |
甲府 | 7 | 100,115 | 14,302 | 6 | 70,659 | 11,777 | -2,525 |
柏 | 7 | 81,326 | 11,618 | 7 | 79,465 | 11,352 | -266 |
15クラブ合計 | 104 | 1,845,375 | 17,744 | 105 | 2,000,961 | 19,057 | 1,313 |
※2014年の降格3クラブ、2015年の昇格3クラブと対戦した試合は除いて計算。
※2014年4節の浦和×清水は無観客試合のため除いて計算。