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最も罪深いミスは相手を恐れてのミス。例えば、サウジ戦の柴崎岳のように…【小宮良之の日本サッカー兵法書】

カテゴリ:日本代表

小宮良之

2021年12月08日

球際の脆さは深刻だった

サウジのバックパスが失点につながった柴崎。その背景にあったのは…。(C)Getty Images

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 ミスは一括りにできない。

 例えば、エリア内で決定的なクロスをノーマークでシュートできる場面で、当てそこなう、あるいは空振りをする。チャンスをふいに。それは試合の趨勢を決するかもしれない。痛恨のミスだ。
 
 しかしながら、それはあくまで技術的なミスで、取り返しがつく。その後で、ゴールネットを揺らしたら、帳消しにできる。能動的なミスというのか。向かっていく中で、失敗は起きるものだ。

 しかし、糾弾されるミスというのがある。
 
 それは原理原則に逆らって生まれたミスだ。
 
 例えば、サイドバックが上がったら、ボランチがその背後をカバーするとか、そういうルールを守っているかどうか。クロスに対し、逆サイドのセンターバックがラインを揃えるのが常道だが、サイドバックがオフサイドラインを混乱させていないか。戦いの掟を守ることが、プロ選手には求められる。
 
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 そして、そこで重大なミスとされるのが、プレーに脅えが滲むことである。相手を恐れる、もしくは自信がない。それによって選択されたミスは罪深い。
 
 例えば、サウジアラビア戦の柴崎岳は、好プレーも見せていた。無回転のロングシュートは流れを引き寄せるほどの効果を持っていて、ファンタジスタの面目躍如だった。ぴたりと味方FWの足元に合わせ、前を向くメッセージも込められ、決定機を迎えていた。また、右に流れてファーサイドに合わせたクロスも、味方が突っ込んでいれば得点になっていたかもしれない。

 しかし、ボールを失う機会が多すぎた。球際の脆さは深刻だった。そして後半途中、相手の寄せに対し、前にボールを出すのも、キープするのも怖がり、マークを受けている後方の選手にバックパスを選択した。結局、そのパスが流れてしまい、相手へのスルーパスになった。これを独走で決められ、日本は敗れたのである。

「相手を臆する」
 
 その上のバックパスのミスは、取り返しがつかない。それは二度と起こらないように、厳しく糺すべきだ。

 しかし一方で、どんなミスも人間がやるスポーツである限り、起こり得る。結局は、起こってしまった後、どう修正し、リカバリーをするか。結局、トライ&エラーで成り立っているだけに、ミスを怖がることが一番のミスということなのだ。

文●小宮良之

【著者プロフィール】
こみや・よしゆき/1972年、横浜市生まれ。大学在学中にスペインのサラマンカ大に留学。2001年にバルセロナへ渡りジャーナリストに。選手のみならず、サッカーに全てを注ぐ男の生き様を数多く描写する。『選ばれし者への挑戦状 誇り高きフットボール奇論』、『FUTBOL TEATRO ラ・リーガ劇場』(いずれも東邦出版)など多数の書籍を出版。2018年3月に『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューを果たし、2020年12月には新作『氷上のフェニックス』が上梓された。
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