二度の揺りかごダンス。鹿島が優勝を決めた夜、埼スタで生まれたちょっと幸せな物語

カテゴリ:Jリーグ

塚越 始(サッカーダイジェスト)

2016年06月27日

試合後、梅崎に駆け寄った阿部。和やかなムードを、最後にギュッと引き締める。

試合直後、勝利を喜びつつも、阿部は気になった切り替えの部分で梅崎と念入りに確認をとっていた。写真:滝川敏之(サッカーダイジェスト)

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 相手GKの動きを見切り、左サイドの高い位置にキックを突き刺す。ゴール裏のサポーターのもとへ駆け寄って叫ぶ梅崎。歓喜を爆発させるサポーター。

 埼スタが赤く燃えた。
 
 そして本人をまじえ、この日二度目の揺りかごダンスが踊られる。この1点が、試合を決定付ける一撃にもなった。
 
 第1ステージの梅崎の成績は13試合出場・1得点。この成績に本人は、「もちろん納得していない。しかし、それが現実だと受け止めている。もっと、力を付けていかないといけない。与えられる役割のなかで、自分自身を奮い立たせていかなければ。まだまだ足りない部分はあるけど、やれる自信はある」と、第2ステージでの逆襲を誓っていた。
 
 また、この和やかなムードを、最後にギュッと引き締めたのが、キャプテンの阿部勇樹だった。
 
 試合終了と同時に、阿部が梅崎もとに近寄り、なにやら確認をする。梅崎によると、「守備から攻撃への切り替えについて」で、試合の中でのシーンを振り返り、「こうしたほうがいい」という要求があったそうだ。鉄は熱いうちに打ったほうがいいという気になる点があったのだろう。
 
 そして試合後のヒーローインタビューで、長男誕生について聞かれた梅崎は「ゴールをプレゼントしてくれて、最高のハッピーバースデーになったと思う」と照れながらも嬉しそうに語った。あくまでもシーズンの通過点にすぎないかもしれないが、2016年6月25日は、梅崎にとって人生のなかで紛れもなく忘れられない最良の1日になったに違いない。
 
 場内を一周した梅崎に、今度は埼スタを埋めていたファンやサポーターから応援歌(チャント)の大合唱が“プレゼント”された。興梠の2ゴールも素晴らしく、久々の先制、リード、ダメ押しとゴールを奪う試合運びで勝利を決めた瞬間も格別だった。

 ただ、この日のハイライトは、この会場全体が祝福に包まれた瞬間だったかもしれない。

 浦和にとっても、今季のターニングポイントになる1日になったかもしれない。
 
 
取材・文:塚越 始(サッカーダイジェスト編集部)
 
 
 
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