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日本代表新監督の西野朗とはどんな指導者か?一躍脚光を浴びた「アトランタの奇跡」の舞台裏を振り返る

カテゴリ:日本代表

佐藤俊

2018年04月11日

アトランタの軌跡は「たまたまとかいうけど、そうじゃない。俺の中じゃしてやったりという感じだよ」

 この時は、対戦国の情報分析をする小野らスタッフ、西野の意図を組んで練習を行なっていた山本昌邦コーチへの信頼は絶大だった。さらにメディカル、トレーナーとも密にコンタクトを取り、選手のコンディションの把握に努めた。
 
 中1日で3試合を戦う予選リーグは、マレーシアの高温多湿という気象条件の中で非常に厳しかったが、ほぼメンバーを変えることなく、3試合を戦い、さらに準決勝のサウジアラビア戦でベストパフォーマンスを発揮するなど、チームは悲願達成に向けて選手・スタッフが一丸になっていた。スタッフは戦友となり、今も年末に集って同窓会を開くのが恒例行事になっている。
 
 そして、アトランタ五輪である。
 
 これは、西野監督のサッカー観に大きな影響を与えた。初戦のブラジル戦に超守備的な布陣で挑み、1-0で勝ち、「アトランタの奇跡」を起こした。だが、その評価は「消極的なサッカーで将来につながらない」というものだった。あのメンバーならもっと攻撃的に戦えるのではないかという批判の声も上がった。
 
「じゃあ、真っ向勝負して、ボコボコにやられたら将来性があると言われるのか」
 
 当時、西野監督は声を荒げてそう言った。
 
 西野監督はこの反動から攻撃的サッカーを標榜しいくことになるのだが、この時は誰も指揮官の本当の狙いを読めていなかった。西野監督はアトランタ五輪を、1試合でも多く真剣勝負の国際試合を経験させ、98年のフランス・ワールドカップに出場できる選手をひとりでも多く輩出するための場と捉えていたのだ。
 
 そのために、あえて守備戦術を敷いて勝ちにいった。勝ち続ければ試合が多くできる。だから神風ではなく、リアリストになって勝負に挑んだ。
 
 ブラジル戦の決勝点もオーバーエイジのDFアウダイールと若いGKジーダのコンビネーションがうまく取れていない情報を事前に掴んでいた。彼らの間にボールが入れば、何かが起こるかもしれないとにらんだ。また、試合前日の閃きから服部年宏にはベベットを徹底的にマークさせた。情報を集め、分析し、それをうまく使いこなした結果、生まれたのが伊東輝悦のゴールであり、「アトランタの奇跡」だったのだ。
 
 ブラジルに勝利した後、西野監督はこういった。
 
「みんなは奇跡とか、たまたまとかいうけど、そうじゃない。勝てる可能性を追求し、それを徹底して戦って勝ち取った。俺の中じゃしてやったりという感じだよ」
 
 この成功体験をベースに、西野監督は大量の情報を丹念に分析し、勝利のポイントを掴んで選手に周知・徹底して戦うようになった。今でこそ誰もが当たり前にやっていることだが、情報を集めてうまく使いこなすという「勝利のルーティン」は西野の監督としての軸になっていったのだ。

文●佐藤俊(スポーツライター)
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