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【小宮良之の日本サッカー兵法書】ポゼッションで勝ちたいなら、時にポゼッションを放棄せよ!

カテゴリ:連載・コラム

小宮良之

2017年04月21日

「自ら退いて陣形を作る」のと「押し込まれて守勢に回る」ことの差

勝負が生き物であることを理解する闘将の下、玄人好みのサッカーを安定して披露するA・マドリー。 (C) Getty Images

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 相当な力の差がなかったら、試合を通じてポゼッションを貫くことは能わない。パスワークへの陶酔は危険。やはり、時間帯によっての「Repliegue Intensivo」は有効な手立てとなる。
 
 結果として同じように見えたとしても、「自ら退いて陣形を作る」のと、「押し込まれて守勢に回る」のでは、雲泥の差がある。戦術として退いているのか。そこにポイントがある。
 
 下がらざるを得ず、相手に引き回される状態は、精神的、肉体的にひどく疲弊する。攻められ続けるなか、弱いゾーン、もしくは選手があぶり出されてしまう。とりわけ、腹背(ふくはい)に隙は生まれやすい(攻める側としては、横槍を入れるサイドアタックが有効となるだろう)。
 
 弱い部分を集中的に攻められると、やがて綻びが生じ、それは全体に伝播していくのだ。
 
 一方、自分たちで選択する「Repliegue Intensivo」は、基本的に相手を引き回している。能動的な状態で、むしろ相手の後の先を取れる。敵を自陣不覚に追い込み、背後にカウンターを食らわせる。心理的に、風下に立っていない。
 
 そうしたやりとりをしていくなかで、相手が自陣に閉じこもったら、伝家の宝刀のポゼッションを発動する。食いつかせてはギャップを生み、相手を攪乱し、籠絡するのだ。
 
 守備戦術も縦横に使いこなせてこそ、めくるめく鮮やかなボールゲームによって勝利をもぎ取ることができる。
 
文:小宮 良之
 
【著者プロフィール】
こみや・よしゆき/1972年、横浜市生まれ。大学在学中にスペインのサラマンカ大に留学。2001年にバルセロナへ渡りジャーナリストに。選手のみならず、サッカーに全てを注ぐ男の生き様を数多く描写する。『おれは最後に笑う』(東邦出版)など多数の書籍を出版しており、2016年2月にはヘスス・スアレス氏との共著『「戦術」への挑戦状 フットボールなで斬り論』(東邦出版)を上梓した。
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