ロングボール主体のなか持ち味を発揮できず。
J-22選抜としてJ3の町田と対戦した“手倉森ジャパン”が、攻撃の形を作れずにまさかの敗戦を喫した。それでも、試合後のミックスゾーンに現われた司令塔の大島は予想した落胆の表情は見せず、冷静に試合を振り返った。
「相手のプレッシャーがあったので、慌ててつっかける必要はないなと感じていました。ただ、裏に走る選手に合わせるタイミングなどは、もう少し合わせるべきかな」
この日、「いつもどおりまずは守備から入った」(手倉森監督)チームは、ロングボールを主体とした攻撃を繰り返し、相手最終ラインの背後を狙い続けた。その理由には事前のスカウティングと、1トップを務めた浅野の存在があったという。
「相手のラインが高いという情報があり、(浅野)拓磨のスピードというストロングポイントも活かそうと考えた」
しかし、簡単に裏を狙いすぎたせいか、攻撃は単調となり、まったくボールをつなげられない。「各クラブから(選手を)お借りし、時間制限があるなか」(手倉森監督)で、大島がピッチに立ったのは前半の45分間だけ。そのなかでチャンスらしいチャンスは、35分に川口が右サイドから折り返し、野津田がシュートを打った場面くらいだった。
パスサッカーを主体とする川崎で、輝きを放つ大島が、ロングボールを多用する展開では窮屈なプレーを強いられる。この日も、頭上をボールが行き来する展開にリズムを崩したのか、前半ロスタイムには相手に簡単にボールを奪われ、慌てて後ろから相手を倒しファウルを犯すなど、らしくないプレーが散見された。
チームの司令塔が持ち味を発揮できないのだから、攻撃が上手く回らないのも当然なのだろう。それでも、「自分がやりたいことだけでなく、みんなに合わせた(チームを)作っていくことが必要」と、自らの武器を最優先にしたパスサッカーへの想いはキッパリと否定する。このチームでどう特長を出すか――。それは来年1月のリオ五輪・アジア最終予選へ向け、攻めの幅を広げるためにも大きな課題となる。
「試合をやっていけば、いろいろ合ってくる部分はある。本番になった時に先制されたら、今日のようなシーン(リードされた終盤にCBの植田を前線に上げるパワープレー)もあると思うので、負けたことは悔しいですけど、そういうシチュエーションになった時にどうすれば良いかある程度イメージはできました」
その言葉どおり、この日、収穫がなかったわけではない。また、同世代には海外組の久保、南野、そして国内組の中島、野津田、浅野、鎌田ら攻撃のタレントは揃っている。それだけにチームのコンダクターがこれからどのように周囲にアジャストし、前線の選手を操るのか、その姿には注目したい。
取材・文:本田健介(サッカーダイジェスト編集部)
「相手のプレッシャーがあったので、慌ててつっかける必要はないなと感じていました。ただ、裏に走る選手に合わせるタイミングなどは、もう少し合わせるべきかな」
この日、「いつもどおりまずは守備から入った」(手倉森監督)チームは、ロングボールを主体とした攻撃を繰り返し、相手最終ラインの背後を狙い続けた。その理由には事前のスカウティングと、1トップを務めた浅野の存在があったという。
「相手のラインが高いという情報があり、(浅野)拓磨のスピードというストロングポイントも活かそうと考えた」
しかし、簡単に裏を狙いすぎたせいか、攻撃は単調となり、まったくボールをつなげられない。「各クラブから(選手を)お借りし、時間制限があるなか」(手倉森監督)で、大島がピッチに立ったのは前半の45分間だけ。そのなかでチャンスらしいチャンスは、35分に川口が右サイドから折り返し、野津田がシュートを打った場面くらいだった。
パスサッカーを主体とする川崎で、輝きを放つ大島が、ロングボールを多用する展開では窮屈なプレーを強いられる。この日も、頭上をボールが行き来する展開にリズムを崩したのか、前半ロスタイムには相手に簡単にボールを奪われ、慌てて後ろから相手を倒しファウルを犯すなど、らしくないプレーが散見された。
チームの司令塔が持ち味を発揮できないのだから、攻撃が上手く回らないのも当然なのだろう。それでも、「自分がやりたいことだけでなく、みんなに合わせた(チームを)作っていくことが必要」と、自らの武器を最優先にしたパスサッカーへの想いはキッパリと否定する。このチームでどう特長を出すか――。それは来年1月のリオ五輪・アジア最終予選へ向け、攻めの幅を広げるためにも大きな課題となる。
「試合をやっていけば、いろいろ合ってくる部分はある。本番になった時に先制されたら、今日のようなシーン(リードされた終盤にCBの植田を前線に上げるパワープレー)もあると思うので、負けたことは悔しいですけど、そういうシチュエーションになった時にどうすれば良いかある程度イメージはできました」
その言葉どおり、この日、収穫がなかったわけではない。また、同世代には海外組の久保、南野、そして国内組の中島、野津田、浅野、鎌田ら攻撃のタレントは揃っている。それだけにチームのコンダクターがこれからどのように周囲にアジャストし、前線の選手を操るのか、その姿には注目したい。
取材・文:本田健介(サッカーダイジェスト編集部)