• トップ
  • ニュース一覧
  • 【私が見た玉田圭司】ロベルト・バッジョの名言に通じる奥深さ。自信家でありながら独りよがりではなく

【私が見た玉田圭司】ロベルト・バッジョの名言に通じる奥深さ。自信家でありながら独りよがりではなく

カテゴリ:Jリーグ

今井雄一朗

2021年11月26日

とにかくサッカーが上手かった

2010年には湘南戦で名古屋を初のJ1制覇に導くゴールを決める。記憶に残る一点となった。(C)SOCEER DIGEST

画像を見る

 11月11日、11時11分に2021年シーズン限りでの現役引退を発表した玉田圭司。その輝かしい歩みを様々な記者に振り返ってもらう。キャリアの中で最も長く所属した名古屋で残した姿とは――。

―――◆―――◆―――

 2年間の“ブランク”を挟んで計11年間を過ごした名古屋では、サッカー選手として大きくスケールアップしていく玉田圭司を見ることができたと思っている。現役の日本代表FWとして鳴り物入りで加入した当初は2006年のドイツ・ワールドカップでブラジルを相手に得点を決めるなど鮮烈な印象も強いが、名古屋では不完全燃焼の感も強い。

 転機は08年のストイコビッチ監督就任で、「お前がJリーグでナンバーワンだ」と焚きつけられた玉田はその攻撃的才能を全開放し、10年には湘南戦でのチームをリーグ優勝に導くゴールを含む、キャリアハイの13得点をマーク。翌11年にはキャリアハイ更新の14得点を挙げ、首位の柏を猛追する終盤6連勝の原動力ともなった。始めはスピードとドリブル、パンチのある左足シュートが特徴の選手だと思っていたが、“味方”として見ていくとパスもFKもゲームメイクも、とにかくサッカーが上手い。しかも強烈な自信家であり、おそらく世界で一番、サッカーが上手いのは自分と思っている(個人の見解です)。

 それはFKを決めた試合で相手GKが変な動きを見せた時、「オレが動かした」と豪語したり、2010年の活躍の理由を聞いて「天才だから」と答えたり、18年にはワールドカップで大活躍のフランス代表FWエムバペについて「完成されているといえば完成されている。でもアイツとしてはもっと上手くなりたいと思っていると思うし、なっていくんじゃない?」と話したり、エピソードには事欠かない。サッカーはメンタルのスポーツでもあり、プレーを支える大きなもののひとつに“自信”がある。いくらテクニックが世界一でも自信がなければ発揮はできない。その点で、比類なきセンスを持つ玉田が強烈な自信家であったことは、我々日本のサッカーファンにとっては幸運でもあった。

2008年からはストイコビッチ監督の下でプレー。攻撃の中心として貢献した。(C)SOCEER DIGEST

画像を見る

 玉田が偉大なのはそれほどの自信家でありながら、独りよがりにはならなかったことだ。キャリアを積み上げるごとにその目線は個人よりチームにフォーカスするようになり、プレースタイルもよりMF的になっていった。2014年、9年間を過ごした名古屋を一度去る際には元トリニダード・トバゴ代表の名選手ドワイト・ヨークを引き合いに出し、マンチェスター・ユナイテッドではFW、代表ではボランチという彼の懐の深さに興味を見せる一幕もあった。果たして、2017年に名古屋に帰ってきた玉田は中盤の選手としてゲームメイクや仲間のフォロー、精神的支柱としての役割を率先して担うようになり、半ば有言実行的にキャリアの充実度と選手としての奥行きの深さを感じさせたのだった。名古屋でのキャリア最終年である2018年には、こんな言葉も残している。

「以前は自分が点を取るとか、アシストするとか、そういうことをまず考えていたけど、今に関してはそこまでの過程をどうしたらうまくいくのかを考えながらやっているし、シュートの前の前のプレーとか、前の前の前とか、そういうところを考えながらやるようになった。それは自発的な変化でもあるし、ポジティブな変化だと感じている。もちろんそれでハードワークが増えたりもするけど、それも前向きに取り組めている部分。サッカーを観ている時に、注目する選手も変わってきたからね。中盤の選手をすごく見るようになった。もちろん今までも見ていたけど、前線の選手を見ていたし、どちらかといえばアタッカーを見ることが多かった。それが自分の変化だと思うし、それを今はもっと突き詰めていきたい気持ちになっている」

 
【関連記事】
「お前のせいで負けたと言ったら殴られた」松井大輔が元日本代表DFとの“秘話”を内田篤人に告白「殺人予告とかもあったみたい」
「どうして日本は彼に頼らないのか」英メディアが森保采配を疑問視! 積極起用を提言した選手は?「使えばもっと良いチームになるのに…」
「タケにはチーム内で苦情がある」久保建英と36歳主将の“知られざる関係”を番記者が明かす!「降格したら出て行って…」【現地発】
【私が見た玉田圭司】“玉田フィーバー”の裏で…大谷秀和に「良い兄貴的な存在」と慕われた人柄
【私が見た玉田圭司】頑固でひたむきで最高のエンターテイナー…長崎での『楽』な日々

サッカーダイジェストTV

詳細を見る

 動画をもっと見る

Facebookでコメント

サッカーダイジェストの最新号

  • 週刊サッカーダイジェスト なでしこJに続け!
    4月10日発売
    U-23日本代表
    パリ五輪最終予選
    展望&ガイド
    熾烈なバトルを総力特集
    詳細はこちら

  • ワールドサッカーダイジェスト 世界各国の超逸材を紹介!
    4月18日発売
    母国をさらなる高みに導く
    「新・黄金世代」大研究
    列強国も中小国も
    世界の才能を徹底網羅!!
    詳細はこちら

  • 高校サッカーダイジェスト 高校サッカーダイジェストVo.40
    1月12日発売
    第102回全国高校選手権
    決戦速報号
    青森山田が4度目V
    全47試合を完全レポート
    詳細はこちら

>>広告掲載のお問合せ

ページトップへ