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監督不在の鳥栖、ACL帰りの名古屋、プロ分析官が注目の一戦を徹底展望! 上位戦線に踏みとどまるのはどちらか?

カテゴリ:Jリーグ

サッカーダイジェストWeb編集部

2021年07月17日

名古屋の敵陣での攻撃vs鳥栖の自陣での守備

【図4】名古屋が敵陣でボールを保持している際のマッチアップ図。

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 鳥栖としては、5-3-2で守れば当然アンカーの脇がシステム上空いてしまいます。ただ、その3のセンターハーフがしっかりと横並びで前に出ないということをすればスペースはそんなに空きません。

 しかし、名古屋のサイドバックが引いた位置で受ける【図4】のような位置では、フリーにしてしまうと簡単に縦パスを通されてしまいますし、ボールも奪えません。どこかのタイミングでアプローチをかけなければいけません。しかし、樋口選手が出るとすると、当然アンカーの脇が空いてしまう。

 このアンカー脇の空いたスペースをどうするのかが鳥栖の自陣の守備のテーマです。

 ボールへのアプローチに行かせず閉じこもるのもひとつのアイディアです。しかし、おそらくそれはしないでしょう。

ボールへアプローチに行く場合には周囲の選手が連動した動きも重要になります。【図5】のような形では、10番の樋口選手が出た場合、24番の飯野選手も連動して前に出て、アンカー脇の空いたスペースにいる8番の柿谷選手へは、4番の島川選手が潰しに行く。そういう形は広島戦の時も出来ていましたので、名古屋相手にもできるかは注目点です。

 その一方で、鳥栖として警戒すべき動きもあります。【図5】で3センターハーフのひとりがボールにアプローチに行った場合、10番の樋口選手が出たら、41番の松岡選手、44番の仙頭選手がスライドしないといけない。その際に、23番の吉田選手から、8番の柿谷選手へボールが入ったら、4番の島川選手と、41番の松岡選手が寄せます。そこで2番の米本選手に落とされて、逆サイドの6番の宮原選手に送られた場合に、鳥栖の3センターハーフのスライドが間に合わないというケースです。

 名古屋に頻繁にサイドチェンジをされた場合、鳥栖の3センターハーフと両ウイングバックの疲労度が、時間の経過によって懸念材料となってくると考えられます。

 鳥栖は、2トップを含めて全員で守れるチームなので、運動量があるうちはスライドもしっかりとして、ひとりが出たらみんなでカバーして、全員で潰すということができるチームです。

 試合全体を通して、いかにその運動量を保てるのかが鳥栖のポイントになります。

 また、17節の神戸戦で失点したように、一発で裏を狙われてGK朴選手が飛び出し、こぼれを拾われてドウグラス選手に決められるというケースがありました。

 名古屋も、ボールを繋ぐこともできますし、ACLで齋藤選手が一発のロングボールに抜け出して点を決めたシーンもあり、そういうことも狙えるチーム。運動量を保ちながらも一瞬の隙を作らない集中力も求められます。


 名古屋目線で言うと、両サイドバックがどこまでオーバーラップを仕掛けるか。若しくは、【図5】のように敢えて行かないで、相手を引きつけることでサイドバックが起点となり、相手のウィークのアンカー脇を突いたり、スライドさせるための準備をする。そういう意味で、サイドバックの立ち位置が見どころになります。

自陣での攻撃時と同じく、サイドバックを起点とした際にパスコースをいかに作るかが次のテーマです。一番簡単なのは、サイドハーフが引いてきて足下で受けることですが、それだとシンプルに相手のウイングバックが出てきて対応されてしまう。

 そこで、足下を見せておいて裏に抜ける。または、一度足下にもらってワンツーで抜け出すなどの工夫が必要です。名古屋のサイドハーフの選手たちはこれができる。

 ボールと同サイドのサイドハーフはそれを狙うでしょう。一方で逆サイドのサイドハーフの選手は度々中央に入ってきます。

 両サイドハーフが足下だけにならず、背後や中央など流動的に動き出し、彼らを有効的に使えるかどうかが名古屋の攻撃の大きなポイントです。同サイドでも逆サイドでも攻略できることを見せることで、鳥栖に迷いも生み出せます。

 そうすることで、前述のように鳥栖のセンターハーフが、起点となる名古屋のサイドバックにアプローチに出られなくなると、名古屋が自由にパスを回し、ゲームのペースを握れるようになってきます。

 さらに名古屋には、ミドルシュートを打てる選手が非常に多いという特長もあります。

攻撃の組み立て方としては、一つ目が相手のアンカー脇を狙う。それがダメなら、二つ目は逆にもっていって、3センターハーフを動かす。三つ目としてはサイドハーフが中に入るだけでなく、外にも開いて、相手のウイングバックの裏も使う。相手のラインが下がったら最後はミドルシュートを狙うという構図が想定できます。

 そういう意味でも、起点となるサイドバックの攻防がこの試合の見どころです。
 

Jリーグ優勝クラブで活動していたアナリストの杉崎健氏。Twitter(https://twitter.com/suzakken)やオンラインサロン(https://community.camp-fire.jp/projects/view/356767)などでも活動中。

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【著者プロフィール】
杉崎健(すぎざき・けん)/1983年6月9日、東京都生まれ。Jリーグの各クラブで分析を担当。2017年から2020年までは、横浜F・マリノスで、アンジェ・ポステコグルー監督の右腕として、チームや対戦相手を分析するアナリストを務め、2019年にクラブの15年ぶりとなるJ1リーグ制覇にも大きく貢献。現在は「日本代表のW杯優勝をサポートする」という目標を定め、プロのサッカーアナリストとして活躍している。Twitterやオンラインサロンなどでも活動中。

◇主な来歴
ヴィッセル神戸:分析担当(2014~15年)
ベガルタ仙台:分析担当(2016年)
横浜F・マリノス:アナリスト(2017年~20年)

◇主な実績
2017年:天皇杯・準優勝 
2018年:ルヴァンカップ・準優勝 
2019年:J1リーグ優勝
 
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