東福岡伝説の3冠…あの雪の決勝で、勝負師・志波芳則は一世一代の賭けに出た(後編)

カテゴリ:高校・ユース・その他

川原崇(サッカーダイジェストWeb編集部)

2017年12月28日

ベタボール…彗星のイメージとぴったり合うんだよね

今年6月、当サイトの企画で集まってくれた(左から)宮原、金古、千代反田の同級生トリオ。宮原と金古は志波先生の教えを大事にしながら、育成年代で指導者の道を歩んでいる。写真:佐藤香織

画像を見る

 いつからか定着した“赤い彗星”というニックネーム。先生はいたく気に入っているという。
 
「彗星のイメージとぴったり合うんだよね、うちの選手たちのパスが。チーム内では“ベタボール”て言ってるんだけど、ピシッと通すグラウンダーのパス。ヒガシの伝統だ。山なりのボールは時間のロスになるだけで、パスが弱ければ受け手が狙われる。厳しい状況に追い込まれる。どこで繋ぐにしても、ベタボールを徹底してきましたよ。その繰り返しが、ゴールへの素早いサッカーになるんだと。だから赤い彗星は、パスのスピードを象徴するあだ名。勝手にそう認識してましたよ」
 
 本当の由来なり背景を伝えようと思ったが、もはやどうでもいい話だ。名伯楽がそう言うのだから、それが正しい。
 
 伝説の3冠チームは解散し、その意志は宮原、金古、千代反田、山形ら下級生たちに継承された。だが選手権決勝から時を置かず、福岡新人戦で、無敗記録はあっさりと途絶えるのだ。
 
「ハハハ。金古の空振りで失点して負けたんだ。でもあのとき負けて良かったなと思ったよ。あのまま勝ち続けたらそれ以上の、我々が想像する以上のプレッシャーに苦しんでいただろうからね。その新人戦の負けはリーグ戦の2戦目。結果的にちゃんと優勝しましたよ。キャプテンの金古のなかではすごく残ってるかもしれんけどね(笑)」
 
 およそ1年後の国立。東福岡は快晴の空の下でふたたび帝京と対峙し、4-2の撃ち合いを制する。堂々、選手権連覇を果たした。
 
<了>
 
取材・文●川原崇(サッカーダイジェストWeb編集部)

【選手権PHOTO】堀北・ガッキー・広瀬姉妹! 歴代応援マネージャーを一挙公開!
【関連記事】
なぜ東福岡は伝説の3冠を達成できたのか…名将・志波芳則に問う(前編)
【黄金世代】第5回・本山雅志「真紅の閃光~49勝2分け、3冠の金字塔」(♯2)
東福岡伝説の3冠…オートマチズムの完成と11人のスペシャリストたち(中編)
宮原、金古、千代反田~東福岡・伝説の同級生トリオが語らう「それぞれのサッカー人生」(前編)
いざ、38回目の選手権へ…名伯楽、小嶺忠敏のイズムと真髄(後編)
ガンバスカウトに訊く「東福岡のナンバー10、福田湧矢のどこに惹かれた?」

サッカーダイジェストTV

詳細を見る

 動画をもっと見る

Facebookでコメント

サッカーダイジェストの最新号

  • 週刊サッカーダイジェスト なでしこJに続け!
    4月10日発売
    U-23日本代表
    パリ五輪最終予選
    展望&ガイド
    熾烈なバトルを総力特集
    詳細はこちら

  • ワールドサッカーダイジェスト 世界各国の超逸材を紹介!
    4月18日発売
    母国をさらなる高みに導く
    「新・黄金世代」大研究
    列強国も中小国も
    世界の才能を徹底網羅!!
    詳細はこちら

  • 高校サッカーダイジェスト 高校サッカーダイジェストVo.40
    1月12日発売
    第102回全国高校選手権
    決戦速報号
    青森山田が4度目V
    全47試合を完全レポート
    詳細はこちら

>>広告掲載のお問合せ

ページトップへ