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天皇杯決勝をプロ分析官が徹底展望!4度目の戴冠を目指す浦和と片野坂政権の集大成となる大分。それぞれの思惑は――

カテゴリ:Jリーグ

サッカーダイジェストWeb編集部

2021年12月18日

大分の敵陣での攻撃vs浦和の自陣での守備

大分が敵陣でボールを保持している際のマッチアップ【図4】。

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 大分は下田選手がキーになります。川崎戦でもそうでしたが、間違いなく起点になっている選手。彼がどこでボールをもらえるか、時間を作れるか。システム上、浦和の2トップの横が空くので、そこで受けて前を向けるか。

 大分は下田選手だけでなく、浮き球を使うことが多い。その精度をどこまで上げられるか。

 もちろんグラウンダーも使わないわけではなく、柏戦でも有効だったのが、左サイドのウイングバックとセンターバックによるパス交換からの崩し。メンバーが変わっても、それでどこまで仕掛けられるかは見どころでしょう。

 柏戦でも三竿選手が相手の最終ラインまで出ていく積極性を見せていました。その上がるスペースを空けさせるために、伊佐耕平選手や町田也真人選手がどれだけ相手のセンターバックをつり出す動きができるか。単純に動くだけでは付いてこない可能性もあるので、ポジションチェンジしながら上手く誘い出したい。

 浦和は、ボールとは逆サイドのサイドバックの対応に弱点があります。大分としては、左サイドで組み立てていた場合は、ファーサイドへのクロスに対して、右のウイングバックがペナルティエリア内に入っていくという形を作るなど、相手の弱点を突きたい。
 

Jリーグ優勝クラブで活動していたアナリストの第一任者杉崎健氏。
Twitter(https://twitter.com/suzakken)やオンラインサロン(https://community.camp-fire.jp/projects/view/356767)などでも活動中。

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 浦和の守備は、2トップを除いた8人が前向きで守備をするのが理想です。大分は相手の背後を取りに行く動きを頻繁に見せるので、ボールを握られることは許容しても、相手に背後を取らせたくない。

 そこで重要なのが、敵陣の守備と同じく、大分が後ろでボールを持っている時の2トップの選手たちのコースの制限の仕方です。相手のキーマン下田選手に時間を与えるのはナンセンスですが、誰ならば良いのか、どの位置なら良いのかなど、2トップの守備時の判断力がその後の展開を左右しそうです。

 制限がかからず、サイドにボールを出された際には、サイドハーフとサイドバックの関係性でどう防ぐか。汰木選手、関根選手は守備に強みがある選手ではないので、2対2の状況で簡単に突破される場面が準決勝でもありました。

 サイドの守備では、どれだけサイドハーフが守備に戻る意識を持てるか、それを継続できるかがポイントになります。ボランチがつり出された際には、バイタルエリアを上手く使われてしまう危険もある。渡邉新太選手は、川崎戦でも強烈なミドルシュートを打っており、浦和としてはボランチの選手でしっかりとバイタルエリアをケアしたい。

 そのうえで、大分が逆サイドへの長いボールを展開し、サイドの選手が中にアタックしてくる策に対しても対処していきたい。センターバックがふたりとも中央への意識が高すぎると、サイドバックがひとりで対応しなければならない状況も生まれてしまうため、4バックの距離感を一定に保つ必要があります。

 大分はペナルティエリア内にそこまで人数をかけてくる印象はないので、ボックス内でしっかりと人を捕まえられれば、乗り切れるはずです。今シーズンの浦和の失点シーンでは、センターバックの間にクロスを入れられて、合わせられるパターンがあり、いかに人を捕まえられるかが課題でしょう。

 今季の対戦で、町田選手に計3ゴール奪われているのは覚えていると思うので、警戒を強めるのは当然ですが、センターバックとボランチでその得点源を消しておくというのは必要になってくると思います。

 天皇杯では90分で決着がつかないことも当然あります。途中から入ってくる選手の人選や、投入するタイミングなども勝敗に直結します。特に後半や、もし延長になった時の判断は重大で、退任の決まっている片野坂監督と、就任初年度で決勝の舞台に導いたリカルド・ロドリゲス監督、両指揮官の決断やマネジメントは、勝負のポイントとして間違いなく大事になるでしょう。

【著者プロフィール】
杉崎健(すぎざき・けん)/1983年6月9日、東京都生まれ。Jリーグの各クラブで分析を担当。2017年から2020年までは、横浜F・マリノスで、アンジェ・ポステコグルー監督の右腕として、チームや対戦相手を分析するアナリストを務め、2019年にクラブの15年ぶりとなるJ1リーグ制覇にも大きく貢献。現在は「日本代表のW杯優勝をサポートする」という目標を定め、プロのサッカーアナリストとして活躍している。Twitterやオンラインサロンなどでも活動中。

◇主な来歴
ヴィッセル神戸:分析担当(2014~15年)
ベガルタ仙台:分析担当(2016年)
横浜F・マリノス:アナリスト(2017年~20年)

◇主な実績
2017年:天皇杯・準優勝 
2018年:ルヴァンカップ・準優勝 
2019年:J1リーグ優勝

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