基本的に浦和は最終ラインから丁寧につなぐスタイル。大分がどういうシステムで来るのかも把握しなければなりません。仮に大分が守備時に５-２-３の形ならば、西川選手、岩波選手、ショルツ選手が縦パスを差し込む役割を担います。

　相手のプレスの強度にもよりますが、状況によってはゴールキックの時にGKの横に柴戸選手が立っていることもあり、ボランチふたりのどちらかが下がるパターンもあります。その際に手薄になった中盤を基本的にはトップ下の選手と右サイドの関根選手がサポートするのがひとつの特長です。

　またシステム上は、大分の前線３人に対して、サイドバックが少し時間を作りやすい形になります。しかし、高い位置を取りすぎると相手のウイングバックが出てきて対応されてしまう。浦和としてはあえてサイドバックが低い位置を取りながら相手のシャドーを惑わせるということを狙いたいのではないか。そこを起点にしてじりじりと前進していくのが狙いのひとつとなりそうです。

　今季の対戦（11節／３-２、22節／０-１）では、自陣での繋ぎにミスが非常に多く失点に繋がっています。当時、外から中に入れたボールを引っかけられてカウンターを受けているので、その形は避けたい。そのため、トップ下の選手をまっすぐ中央に下がらせるのではなく、左右にずらしてビルドアップのサポートへ行かせる手もあるでしょう。

　決勝という舞台なので、独特の雰囲気と選手にしかわからないプレッシャーもあるはずで、パスが数センチずれることは考えられる。いつも以上に丁寧にやる必要が出てくるでしょう。もしかすると、西川選手や、センターバックふたりが一発で裏を突くような長いパスを狙う可能性もありそうです。そういった浦和の前進の仕方に注目です。
 

　一方の大分は前線３枚の仕掛け方がひとつポイントです。間を使われて前進されるのも嫌ですが、前述のように浦和は一発で裏を狙えるパスを蹴ることができる選手がそろっているので、ロングボールでディフェンスラインの背後を取られることを一番警戒していると思います。

【図１】のように大分は攻撃陣と守備陣で人数差があるので、前線の３人だけで追いかけても簡単には奪えないですし、浦和の前線がサポートに下りてくると、さらに中盤から先の人数差が広がります。

　大分としては、今季の対戦で２試合とも得点を奪えていて、良いイメージは持っていると思います。なるべくアグレッシブに行くのであれば、ウイングバックの選手が前に出て引っかけることを狙いそうです。自分の背後を取られないように縦を切りながら追い込んで、浦和が中を使うように仕向け、ボランチのところで罠を張ってボールを取るという狙いも持っているかもしれません。

　後ろは数的優位ですが、前は数的不利。そのギャップを埋めるためにも、ウイングバックやセンターバックが積極的に前に出る。そこで何度か奪えれば良いイメージでゲームを進められるでしょう。リーグ最終節の柏レイソル戦では上手くいっていたので、その再現を狙いたい。

　またシャドーのふたりは、対峙するセンターバックとサイドバックのふたりをひとりで見なければならない状況がある。浦和の両センターバックは、比較的縦パスを中央へ入れてくる傾向があるので、始めから外を切って中を通させるという立ち位置も考えられるでしょう。シャドーのふたりのコースの切り方に注目すると面白いかもしれません。