EUROとJリーグでは環境が違う
――レフェリーに限って話せば、元JFA審判委員会副委員長のレイモンド・オリヴィエさんがご指摘されていたエンパシー(他人の感情や経験などを理解する能力)や表現力が足りないのかなとも感じました。17節の柏レイソル対北海道コンサドーレ札幌戦(参照リンク)では、VARチェックが分かりづらかったようで、DAZNでも「ベンチのアピールを受けてからのVAR?」と実況されてしまいました。
「実はあの試合、私も現場にいました。(札幌が得点した)38分のVARシーンについては改善しなければいけない。ただ、プロトコルが間違っていたわけではありません。オフサイドかを副審に訊きに行き、オフサイドだと判定したから次のポジションで待つ。問題はありません。
ですが、VARのチェックを待っている間に、選手たちがアピールに集まってきますよね? そこでの振る舞いは改善が必要です。いざ現場となると選手が集まったりし、想定通りにいかなくなる時がでてきます。そういった時には、ポジションを少し変えるとか、選手を落ち着かせるテクニックなどが必要になります。
何もなければレフェリーの姿勢からVARのチェックを待っているのが分かるのでしょうが、選手が集まってガチャガチャしたことで、分かりづらくなってしまいました。VARは今季から本格導入され、選手のマネジメントで戸惑いが起きたのかもしれません。
観ている方々がストレスを感じるシーンになってしまいましたが、選手の要求でOFRをしたのではありません。正しいプロトコルで行なわれました。
ひとつだけお願いが許されるのであれば、J1の試合はVARがチェックしているということを理解してほしい。もちろん、ご理解いただいている方も多いとは思いますが、『VARがチェックしているから再開に時間がかかる』というのは念頭に入れていただきたいです。
『EUROは早いじゃないか』と思うかもしれない。ですが、EUROは20数台のカメラ、ふたりのビデオオペレーター、4人のVARで運営しています。誤解を恐れずに言えば、我々と環境が違うので、どうしてもEUROよりは時間がかかってしまう。理解していただく部分と我々が改善しなければいけない部分。その両方があると思っています」
「実はあの試合、私も現場にいました。(札幌が得点した)38分のVARシーンについては改善しなければいけない。ただ、プロトコルが間違っていたわけではありません。オフサイドかを副審に訊きに行き、オフサイドだと判定したから次のポジションで待つ。問題はありません。
ですが、VARのチェックを待っている間に、選手たちがアピールに集まってきますよね? そこでの振る舞いは改善が必要です。いざ現場となると選手が集まったりし、想定通りにいかなくなる時がでてきます。そういった時には、ポジションを少し変えるとか、選手を落ち着かせるテクニックなどが必要になります。
何もなければレフェリーの姿勢からVARのチェックを待っているのが分かるのでしょうが、選手が集まってガチャガチャしたことで、分かりづらくなってしまいました。VARは今季から本格導入され、選手のマネジメントで戸惑いが起きたのかもしれません。
観ている方々がストレスを感じるシーンになってしまいましたが、選手の要求でOFRをしたのではありません。正しいプロトコルで行なわれました。
ひとつだけお願いが許されるのであれば、J1の試合はVARがチェックしているということを理解してほしい。もちろん、ご理解いただいている方も多いとは思いますが、『VARがチェックしているから再開に時間がかかる』というのは念頭に入れていただきたいです。
『EUROは早いじゃないか』と思うかもしれない。ですが、EUROは20数台のカメラ、ふたりのビデオオペレーター、4人のVARで運営しています。誤解を恐れずに言えば、我々と環境が違うので、どうしてもEUROよりは時間がかかってしまう。理解していただく部分と我々が改善しなければいけない部分。その両方があると思っています」
――OFRの映像がスクリーンに流れるシステムはどう感じていますか?
「基本的には悪いと思っていません。スタジアムにいるお客様がOFRの映像を見て納得できることは良いことです。世界的に稀な試みですが、透明性を出せています。
その一方で難しさもあります。VORで作業しているのも人間なので、すべてが確実ではありません。例えば、先ほど話した柏対札幌の試合ではOFR時に4画面を用いていました。レフェリーもあの4画面では見づらかったと思います。となると、スクリーンで見る観客はより分からないですよね。
他にも、映像を何度も巻き戻して、それがジャイアントスクリーンにも出てしまうと、選手や観客からは「なにやっているの?」とストレスになってしまいます。そういう意味ではジャイアントスクリーンに流れる映像が1分くらい遅れていると良いですよね。OFRが終わって判定が確定してから流れると、今のストレスはなくなると感じています。いずれにしろ、Jリーグと話しながら、ポジティブに進めていければと思います」
(後編に続く)
取材・文●石井紘人 @targma_fbrj
「基本的には悪いと思っていません。スタジアムにいるお客様がOFRの映像を見て納得できることは良いことです。世界的に稀な試みですが、透明性を出せています。
その一方で難しさもあります。VORで作業しているのも人間なので、すべてが確実ではありません。例えば、先ほど話した柏対札幌の試合ではOFR時に4画面を用いていました。レフェリーもあの4画面では見づらかったと思います。となると、スクリーンで見る観客はより分からないですよね。
他にも、映像を何度も巻き戻して、それがジャイアントスクリーンにも出てしまうと、選手や観客からは「なにやっているの?」とストレスになってしまいます。そういう意味ではジャイアントスクリーンに流れる映像が1分くらい遅れていると良いですよね。OFRが終わって判定が確定してから流れると、今のストレスはなくなると感じています。いずれにしろ、Jリーグと話しながら、ポジティブに進めていければと思います」
(後編に続く)
取材・文●石井紘人 @targma_fbrj