久保に求められるものは?
久保の場合は、まずは監督の求める戦術の中で結果を残しながら「どう試合に出るか」「どう出続けるか」を導き出して答えを出さないとね。期待できる選手から信頼できる選手への変化。
今のビジャレアルは2CBがボールを持ち出し、球出しの起点として機能しているからパレホだけを消しても後方からしっかりとゲームを作ることができる。最後尾が前でプレーして相手選手を引っ張り出すということは、その前に優位性を作ることができるということだから。
日本ではここに対する理解が少し浅い部分があると思う。
後ろが数的優位だということは、裏を返せば前線が数的不利な状況だからね。サッカーは11対11のスポーツだから、どこかで数的優位を作ったら、どこかで不利な状況ができるようにできている。だから、どう数的優位のバトンを渡していくかが大事なこと。
例えば、ボールを触りたいと一人の選手がポジションを下げていく。それ自体はそこで数的優位が作れるから悪い選択ではないけど、そうすることで自分がいなきゃいけなかった場所で数的不利な状況を生み出しているから、そこを認識しておかないとチームにとってプラスになるかマイナスになるかの判断ができない。
後方からのボールの運び出しはうまくいっているのに、前に進むとなんか攻撃が上手に構築できない。そう嘆いているように見える場面によく出くわすけど、そもそもサッカーは後ろで作った数的優位を前に渡していかないと、前線に良いパスを出したり、いわゆるクサビを突いても人数が足らなければ攻撃がうまくつながらないのは当たり前。
今のビジャレアルは2CBがボールを持ち出し、球出しの起点として機能しているからパレホだけを消しても後方からしっかりとゲームを作ることができる。最後尾が前でプレーして相手選手を引っ張り出すということは、その前に優位性を作ることができるということだから。
日本ではここに対する理解が少し浅い部分があると思う。
後ろが数的優位だということは、裏を返せば前線が数的不利な状況だからね。サッカーは11対11のスポーツだから、どこかで数的優位を作ったら、どこかで不利な状況ができるようにできている。だから、どう数的優位のバトンを渡していくかが大事なこと。
例えば、ボールを触りたいと一人の選手がポジションを下げていく。それ自体はそこで数的優位が作れるから悪い選択ではないけど、そうすることで自分がいなきゃいけなかった場所で数的不利な状況を生み出しているから、そこを認識しておかないとチームにとってプラスになるかマイナスになるかの判断ができない。
後方からのボールの運び出しはうまくいっているのに、前に進むとなんか攻撃が上手に構築できない。そう嘆いているように見える場面によく出くわすけど、そもそもサッカーは後ろで作った数的優位を前に渡していかないと、前線に良いパスを出したり、いわゆるクサビを突いても人数が足らなければ攻撃がうまくつながらないのは当たり前。
今のビジャレアルはそこをチーム全体でうまく行っている。ボールを持ち出す選手がいて、守備をフリーランニングで引っ張り出して隙間を作る選手がいて、そこを活用する選手がいて、それぞれの選手が状況に応じて適切に機能している。特に前線で隙間を作るためにみんなが正しく走ることを厭わない。
隙間を作るためにシンプルに広げる作業をして、そこで無理にパスを差し込んで攻撃をするのではなく、相手守備のスライドをいろいろとさせながら背後がうまくとれる状況が生まれるまでチーム全体でそれを続け、「ここぞ」というタイミングでボールを刺してゴールを奪いに行く。
それぞれの状況でみんな何をすべきか、そして適切な役割分担がわかっているから無理してボールを刺して失うこともないし、相手からすると怖さが付きまとう。相手の守備陣形の崩し方が明確だし、ビジャレアルクラスの選手たちのサッカーIQの高さに驚かされる。
フットボールと相手のシステムで補完できるものとそれによって生まれる歪み=隙間をものの見事に生み出し、仕上げているのが今のビジャレアル。そんなチームで久保は戦っている。すごいレベルにいる。他に活躍している若手も、彼らはスペインだからアンダーカテゴリーの代表。仮に日本なら十分にフル代表で中心選手になれる可能性がある。
久保はその環境でも軸になれるだけの期待を背負って戦えているから十分すごいと思うし、犠牲と我慢を続けていけばきっと道はある!
自分が中心だと認めさせた昨シーズンの活躍だってすごい。ビジャレアルでも試合に出場したときはきちんと違いは生み出せているし、このチームの呼吸の中に溶け込めている。彼から発信される会話だってある。でも、残念ながらその回数が少ないのと、リーグの中の数字で出せていないだけ。
スペインのトップクラブはそんなに簡単じゃない。
大きなものを期待したいのはわかるけど、まだ19歳。僕はこのチームで、久保が徐々に中心になっていったら先が見えてくると思うから小さな変化を見逃さないように楽しみながら観戦している。
分析●安永聡太郎
取材・文●木之下潤
※取材は12月21日に実施
【分析者プロフィール】
安永聡太郎(やすなが・そうたろう)
1976年生まれ。山口県出身。清水商業高校(現・静岡市立清水桜が丘高校)で全国高校サッカー選手権大会など6度の日本一を経験し、FIFAワールドユース(現U-20W杯)にも出場。高校卒業後、横浜マリノス(現・横浜F・マリノス)に加入し、1年目から主力として活躍して優勝に貢献。その後はスペインのレリダ、清水エスパルス、横浜F・マリノス、スペインのラシン・デ・フェロール、横浜F・マリノス、柏レイソルでプレーする。2016年シーズン途中からJ3のSC相模原の監督に就任。現在はサッカー解説者として様々なメディアで活躍中。
隙間を作るためにシンプルに広げる作業をして、そこで無理にパスを差し込んで攻撃をするのではなく、相手守備のスライドをいろいろとさせながら背後がうまくとれる状況が生まれるまでチーム全体でそれを続け、「ここぞ」というタイミングでボールを刺してゴールを奪いに行く。
それぞれの状況でみんな何をすべきか、そして適切な役割分担がわかっているから無理してボールを刺して失うこともないし、相手からすると怖さが付きまとう。相手の守備陣形の崩し方が明確だし、ビジャレアルクラスの選手たちのサッカーIQの高さに驚かされる。
フットボールと相手のシステムで補完できるものとそれによって生まれる歪み=隙間をものの見事に生み出し、仕上げているのが今のビジャレアル。そんなチームで久保は戦っている。すごいレベルにいる。他に活躍している若手も、彼らはスペインだからアンダーカテゴリーの代表。仮に日本なら十分にフル代表で中心選手になれる可能性がある。
久保はその環境でも軸になれるだけの期待を背負って戦えているから十分すごいと思うし、犠牲と我慢を続けていけばきっと道はある!
自分が中心だと認めさせた昨シーズンの活躍だってすごい。ビジャレアルでも試合に出場したときはきちんと違いは生み出せているし、このチームの呼吸の中に溶け込めている。彼から発信される会話だってある。でも、残念ながらその回数が少ないのと、リーグの中の数字で出せていないだけ。
スペインのトップクラブはそんなに簡単じゃない。
大きなものを期待したいのはわかるけど、まだ19歳。僕はこのチームで、久保が徐々に中心になっていったら先が見えてくると思うから小さな変化を見逃さないように楽しみながら観戦している。
分析●安永聡太郎
取材・文●木之下潤
※取材は12月21日に実施
【分析者プロフィール】
安永聡太郎(やすなが・そうたろう)
1976年生まれ。山口県出身。清水商業高校(現・静岡市立清水桜が丘高校)で全国高校サッカー選手権大会など6度の日本一を経験し、FIFAワールドユース(現U-20W杯)にも出場。高校卒業後、横浜マリノス(現・横浜F・マリノス)に加入し、1年目から主力として活躍して優勝に貢献。その後はスペインのレリダ、清水エスパルス、横浜F・マリノス、スペインのラシン・デ・フェロール、横浜F・マリノス、柏レイソルでプレーする。2016年シーズン途中からJ3のSC相模原の監督に就任。現在はサッカー解説者として様々なメディアで活躍中。