優勝記念インタビューでの涙で途切れた言葉「心から、感謝を……」
2012年に初優勝を果たした後、彼は息子と娘、そして愛妻と共に記念写真を撮った。長男は5歳になり、父がプロの選手だと認識し始めた頃。かつて語ってもいた夢は、現実となった。夫に優勝メダルをかけてもらった妻は一言、「重いね」と言った。
「症状に苦しんだ時、志乃は表現に気を使いながらも、僕の引退を止めてくれたんです。そのことに、本当に感謝したい」
「症状に苦しんだ時、志乃は表現に気を使いながらも、僕の引退を止めてくれたんです。そのことに、本当に感謝したい」
優勝を記念したインタビューで、彼は言葉を続けようとした。だが、途中から、いつもは理路整然と流れる言葉が、途切れた。
「辛い……ことがあるから、次はいいことがある。そんなことは信じられなかった……。頑張ったらいいことがあるなんて……簡単には言えない……。でも志乃には、諦めない気持ちを……、教わった。心から、感謝を……」
もう繋げられなかった。こみ上げた涙を、こらえられなかった。
彼女に会えて、良かったね――。
そんな問いかけに、森﨑和幸はただ、うなづくことしかできなかったのだ。
取材・文●中野和也(紫熊倶楽部)
「辛い……ことがあるから、次はいいことがある。そんなことは信じられなかった……。頑張ったらいいことがあるなんて……簡単には言えない……。でも志乃には、諦めない気持ちを……、教わった。心から、感謝を……」
もう繋げられなかった。こみ上げた涙を、こらえられなかった。
彼女に会えて、良かったね――。
そんな問いかけに、森﨑和幸はただ、うなづくことしかできなかったのだ。
取材・文●中野和也(紫熊倶楽部)