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生き地獄の症状から5回の復帰。森﨑和幸の壮絶な闘病生活を支えた「最大の力」とは何だったのか?

カテゴリ:Jリーグ

中野和也

2018年12月10日

長期離脱のたびにサポーターとの絆は強くなり続けた

2012年の優勝セレモニーでの一幕。弟の浩司(左)とともにチャンピオンフラッグを掲げる。(C) SOCCER DIGEST

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 森﨑の症状は少しずつ回復に向かった。ただ病状が急激によくなるはずもなく、
原因不明のめまいをずっと抱えていた状況の中、それでも彼はサッカーのトレーニングを続けた。9月下旬、めまいがおさまった頃、森﨑はトレーニングで主力組に入る。「本当にカズさんは5か月近くもブランクがあったのか」。選手たちは、驚きを隠せなかった。

 10月3日、快晴で富士山もよく見えるアウトソーシングスタジアム日本平(現IAIスタジアム日本平)のピッチに現われた森﨑を、紫のサポーターは万雷の拍手で迎え、そして高らかに歌った。
 「俺達の和幸、俺達の誇り」

 練習中に3度、プライドを込めて森﨑の歌を歌うサポーターら、彼は深く深く、何度も何度も、頭を下げた。
「歌が、僕に突き刺さった。歌が、僕を動かした。このスタジアムのすべての人々が、僕を応援してくれているんだ」

 症状が重い時は家族さえ寄せ付けず、電話もできないほど、他者との関わりを遮断せざるをえなかった森﨑が、スタジアム中が自分の味方だと感じていた。それは、サポーターの歌の力だった。当初45分の予定だった出場時間が76分まで伸びたのは、サポーターの声援が森﨑を動かしてくれたのだ。

 試合後、何度も何度も繰り返される「俺達の誇り」の歌声に、森﨑は拍手で応えた。ロッカーに戻った後、もう一度飛び出し、頭を下げた。この時から、森﨑和幸とサポーターの間にある絆が、鋼のように強くなったのだ。そしてその絆は、2010年・2017年・2018年と続いた長期離脱のたびに、強くなり続けた。
 
「お医者さまに言わせれば、主人は身体が強いんだそうです」
 傍で彼をずっと支え続けた愛妻・志乃さんは、ドクターの言葉を教えてくれた。
「この病気は、そんなに簡単に乗り越えられるものではないんです。(寝たきりなどの)シビアな状況になるケースも少なくない。ご主人のような身体の強さがなければ、これほど何度も回復することはできない」

 志乃さんは「そんな強い身体に育ててくれた両親に感謝です」と笑顔を見せた。もちろん、森﨑が5度にわたってこれほどの苦境から立ち直った不屈の男たる本質は、頑健な身体と諦めない精神にあることは間違いない。サポーターの存在も大きかった。監督やチームメイト、クラブのスタッフも、弟・森﨑浩司も助けてくれた。

 だが、最大の力が何だったのか、それは森﨑和幸自身がよく分かっている。
 
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