なぜプロビンチャの鹿島がタイトル数で独走するのか? 戦力強化の「勝ち組と負け組」

カテゴリ:Jリーグ

加部 究

2017年10月27日

ユース出身のトップ登録選手が10人になったFC東京だが、トップに勢いをつける突き上げは?

15歳で久保建英がトップデビューを果たしたFC東京だが、トップに勢いをもたらすような突き上げは生まれていない。写真:サッカーダイジェスト写真部

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 それに対し日本屈指の人気クラブ浦和は、結果という命題を前に舵取りが揺れ動いてきた。2009年に就任したフォルカー・フィンケ監督は、ユース日本一になったチームから原口元気、山田直輝、高橋峻希らを躊躇なく抜擢し、シーズン途中までは溌剌としたサッカーを展開した。しかし成績不振で退任し、やがて転換期を迎えると、広島で成功したミハイロ・ペトロヴィッチ監督を招聘し長期政権が続いた。同監督は「ウチはレアル・マドリーではない」と繰り返し、再三日本サッカーの結果至上を嘆いた。だが育成重視の流れは分断され、今ではユースからの昇格者は矢島慎也しかいない。27人の戦力の大半を外部からの補強選手が占め、即戦力購入に絞ったチーム作りは、皮肉にも「結果至上」に映る。
 
 また大型補強が話題をさらったFC東京も、試行錯誤が続く。他のクラブに先駆けて独自の育成ビジョンを打ち出し、J3に参戦するU-23を加えて2チーム分の選手たちをトップの練習で競わせた。当然目標は、育成した選手の開花促進である。現在ユース出身のトップ登録選手は 10 人(特別強化指定と大学経由は除く) で、うちトップの公式戦を経験したのが7人。悪い数字ではないが、トップに勢いをつける突き上げは見られなかった。
 
 ただし、こうしたJ1の常連クラブ以上に現実至上に傾きがちなのが、多くの後続クラブだ。例えば甲府は、13年に返り咲いてから4シーズンJ1に定着しているが、毎年残留が最大の目標になり、助っ人に運命を託す堅守速攻型から抜け出せない。今年もドゥドゥ、リンスの2トップが生命線で、最初にJ1に昇格し「サッカーはエンターテイメントだ」と言い切った大木武監督時代とは対照を成す。現状は大卒獲得が11人で、外部からの補強が17人(助っ人も含む)。だが、U-12は昨年のダノンカップで世界2位に輝いている。せっかくの素材を活かすためにも、どこかで育成も視野に入れる必要がある。
 
 働き盛りが空洞になりがちなのは輸出国の宿命だ。しかしだからこそ育てて売る循環の促進が、日本サッカー発展のカギになる。小さな街の名門は、構造整備と一貫性でリードした。次の四半世紀は、大都市のクラブからも斬新なプロジェクトの発生を期待したい。
 
文:加部 究(スポーツライター)
 
※『サッカーダイジェスト』10月26日号(同12日発売)「Jリーグの補強史から見る戦力強化の勝ち組と負け組」より抜粋

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