なぜプロビンチャの鹿島がタイトル数で独走するのか? 戦力強化の「勝ち組と負け組」

カテゴリ:Jリーグ

加部 究

2017年10月27日

J草創期、ある高校の監督は「鹿島のスカウトだけは、普段の練習を見に来る」と話していた。

鹿島は、柴崎岳(写真)など有力な高卒選手をターゲットに強化を進め、近年ではユースも成果を上げている。(C) SOCCER DIGEST

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 ジーコ効果は、自身が退いてからも続いた。ジョルジーニョ、レオナルドなど素晴らしい現役の手本や、名将たちが次々にやって来てチームを支えた。名良橋晃がジョルジーニョから学び、大迫勇也はマルキーニョスとともにプレーをした。
 
 また柴崎岳が入団すれば小笠原満男の隣に配し、将来を担う昌子源や植田直通を獲得すれば、時にはチームの成績以上に彼らの成長促進を優先した。そしてアジア枠以外の助っ人はブラジル路線を、フォーメーションも基本的には4-4-2を貫く。強化責任者が変わらず中長期を見据えて見事な手腕を発揮するから、選手が育ち、スムーズな世代交代が繰り返さ れ、栄冠が連なった。
 
 だから鹿島には、ほとんど獲り逃しがない。地域的なハンディを抱えた鹿島の主なターゲットは高体連で、トップ登録28人中8人が高卒で入団している。明らかにJのトレンドと は乖離し、浦和、G大阪に現在トッ プチームに絡む高卒組は不在で、柏も大津祐樹ただひとりだ。ユース以下の段階で、小さな街に素材を集めてくるのは限界がある。その分綿密なスカウティングで隠れたタレントを見極め、同時に競合必至の有望株を確実に呼び込む。
 
 ある高校の監督が「鹿島のスカウトだけは、普段の練習を見に来る」と話していたのが、J草創期の頃だった。大迫、柴崎、植田ら高校で傑出した競合選手を誘うには、どんな条件提示や言葉より、 四半世紀の実績が説得材料になる。しかも鹿島は進化を続けている。石井正忠―大岩剛と指導者育成も進み、最近は土居聖真に象徴されるようにユースからの昇格組も目立つようになり、今年も6人がトップ登録者に組み込まれている。
 
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