【黄金世代】第3回・小笠原満男「美しき東北人魂~これが俺の生きる道」(♯6)

カテゴリ:特集

川原崇(サッカーダイジェストWeb編集部)

2017年07月17日

また鹿島に来ればいい。ミツオはいつだって、ここにいる。

闘将が言うところの「バトン」は誰の手に渡るのか。心の底から愛するクラブのため、「行けるところまで行きたい」と力を込めた。写真:佐野美樹

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 練習場のピッチで写真撮影を終え、別れ際にこう語りかけた。「次はJの試合をカシマまで観にきますから」と。すると社交辞令を見抜いたのか、言われ慣れているのか、小笠原はこう突き放した。
 
「俺はね、そういうのは信じないよ。だいたいみんな来ないから。口だけなんだよ」
 
 なんとも手厳しい。そして、鋭い。笑って別れたが、言われっぱなしも悔しい。
 
 困った。昔ならまだしも、いまのわたしはJの担当チームを持っているわけではないので、気軽に週末のJリーグ取材には赴けない。いや、待てよ。直近の平日にACLのホームゲームがあるじゃないか。しかも相手の広州恒大にはパウリーニョが! 彼は我が愛するトッテナム・ホットスパーの元選手で、訊きたいことが山ほどある。
 
 そして試合当日。ゲームが終わり、ミックスゾーンを素通りしてそそくさとバスに乗り込むパウリーニョを目撃し、「降りて来てくれ」とジェスチャーをしている間に、ミツオさんはすたこらと帰ってしまった。来ていたことを伝えようと曽ケ端準と中田浩二を必死に探したが見つからない。ベテラン記者とはとうてい思えない、豪快な空振りである。
 
 でも、また来ればいい。鹿島に来ればいい。
 
 小笠原満男はいつだって、ここにいるはずだから。
 
<了>
 
取材・文:川原崇(サッカーダイジェストWeb編集部)
 
※8月上旬にスタート予定のシリーズ第4回は、満を持して「浪速の怪童」が登場します。どうぞご期待ください!
 
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PROFILE
おがさわら・みつお/1979年4月5日生まれ、岩手県盛岡市出身。地元の太田東サッカー少年団で本格的にサッカーを始め、小6の時には主将としてチームを率い、全日本少年サッカー大会に出場。中学は市立大宮中、高校は大船渡に進学。インターハイや選手権など全国の舞台で活躍し、世代別の日本代表でも常連となり、東北のファンタジスタと謳われた。1998年、いくつかの選択肢から鹿島アントラーズに入団。翌年にはU-20日本代表の一員としてナイジェリアでのワールドユースに主軸として臨み、準優勝に貢献する。鹿島では在籍20年間(2006年8月から10か月間はイタリアのメッシーナにレンタル移籍)で7度のリーグ優勝を含む16個の国内タイトルをもたらし、Jリーグベストイレブンに6回選出、2009年にはJリーグMVPに輝いた。日本代表ではワールドカップに2度出場(2002年・06年)し、通算/55試合出場・7得点。Jリーグ通算/508試合・69得点。173㌢・72㌔。O型。データはすべて2017年7月16日現在。

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