• トップ
  • ニュース一覧
  • 【コラム】トッティとローマの「愛の物語」が終焉。それでも王子はまだ「本当の決断」を…

【コラム】トッティとローマの「愛の物語」が終焉。それでも王子はまだ「本当の決断」を…

カテゴリ:ワールド

片野道郎

2017年05月30日

この期に及んでもまだ引退を明言せず…。

試合前から涙ぐむロマニスタも多数。誰もがトッティとの別れを惜しんだ。写真:Alberto LINGRIA

画像を見る

 続いて読み上げられた手紙を簡単に要約すれば、次のようになるだろう。
 
「本当はまだボールを蹴り続けていたい。しかし、ローマでそれを続けていくことは不可能になってしまった。それが大人になるということだと言われるけれど、まだ本当は心の準備ができていないし、怖い。でもその時が来た以上、それを受け入れるしかない。今はただ愛するすべてのロマニスタにありがとうと言うことしかできない――」
 
 この期に及んでもまだ、トッティは「プレーヤーとしてのキャリアを終える」とは言い切っていない。それどころか、セレモニーの後、家族や友人たちと集まったレストランで、こんなことを口にしたという盗撮映像までが翌日になって出回っている。
 
「手紙には最後のピリオドを打ってない。まだ終わってないよ。俺は来年も続ける。どこでかはわからない。続ける続ける。どこかわからないけどまだ続けるから」
 
 これが本当なのか冗談なのかは、まだ誰にもわからない。おそらく本人にもわからないのだろう。
 
 引退セレモニーの夜、そして翌日を通して、イタリアのマスコミはこのセレモニーへの賛辞とローマでのプレーに終止符を打ったトッティへの愛惜に満ち溢れていた。その中でただ1人、かつての恩師ズデネク・ゼーマンだけは、いつも通り氷のような冷静さでこう言い切った。
 
「今日のような日は、私にとっては祝祭ではなく悲劇、葬式のようなものだ。もしそれを決めたのがトッティ自身だったら、相応しい祝祭だっただろう。しかし、決めたのは彼ではなかった。それは正しいことではない。私は、まだプレーを続けたいのだろうと思う。イタリアでは無理だから、外国でふさわしいチームを見つければいい。ジャケットにネクタイ?(現役引退後の幹部就任でローマとはサイン済み) 想像できない。彼の居場所はピッチの上だ」
 
 愛と涙と感動のセレモニーは終わった。しかし、トッティはまだ本当の決断を下していない。
 
文:片野道郎
 
【著者プロフィール】
1962年生まれ、宮城県仙台市出身。1995年からイタリア北部のアレッサンドリアに在住し、翻訳家兼ジャーナリストとして精力的に活動中だ。カルチョを文化として捉え、その営みを巡ってのフィールドワークを継続発展させている。『ワールドサッカーダイジェスト』誌では現役監督とのコラボレーションによる戦術解説や選手分析が好評を博す。ジョバンニ・ビオ氏との共著『元ACミラン専門コーチのセットプレー最先端理論』が2017年2月に刊行された。
 
【関連記事】
ローマ退団のトッティへ、「感動のオマージュ」が世界中のレジェンドから届く
ドンナルンマ代理人に“最後通告”! ミランCEOが「待てない。プランBも必要」と強気の姿勢!
バルサ新監督にバルベルデ! かつては日本代表の指揮官候補にも
「野垂れ死ぬかトロフィーを持ち帰るかだ」「韓国? いや、日本?」――サッカー界の注目コメント集
セリエA得点王のゼコ、イタリアの年間最多得点記録も更新!

サッカーダイジェストTV

詳細を見る

 動画をもっと見る

Facebookでコメント

サッカーダイジェストの最新号

  • 週刊サッカーダイジェスト 王国の誇りを胸に
    4月10日発売
    サッカー王国復活へ
    清水エスパルス
    3年ぶりのJ1で異彩を放つ
    オレンジ戦士たちの真髄
    詳細はこちら

  • ワールドサッカーダイジェスト 特別企画
    5月1日発売
    プレミアリーグ
    スター★100人物語
    絆、ルーツ、感動秘話など
    百人百通りのドラマがここに!
    詳細はこちら

  • 高校サッカーダイジェスト 完全保存版
    1月17日発売
    第103回全国高校サッカー選手権
    決戦速報号
    前橋育英が7年ぶりの戴冠
    全47試合&活躍選手を詳報!
    詳細はこちら

>>広告掲載のお問合せ

ページトップへ