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【浦和総括&展望】「最高」で「最悪」のシーズンに。尾を引きそうなラスト10分の慌てぶり

カテゴリ:Jリーグ

塚越 始(サッカーダイジェスト)

2016年12月26日

結局、10年間でひとつしかタイトルを獲れずにいる現実。

阿部はJ1通算500試合出場、さらにリーグ100試合連続フル出場という、ふたつの偉業を達成。華を添えたかった……。写真:滝川敏之(サッカーダイジェスト写真部)

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 おまけに今回は、GK西川が前線へ出ようとすると、指揮官がもっと攻撃に加われと指示。それをコーチが止めるシーンも見られた。
 
 浦和がクリアしてきたはずの課題が、改めて噴出された。状況に応じて戦い方を変えられない、全員の意思徹底を図れるリーダーがいない、基本的には指揮官に全権を託し依存しすぎている、コアメンバーへの高い依存度と自由度……。
 
 個々は間違いなく手を抜いていないが、それぞれの頑張りが噛み合わなくなる。鹿島が見せた、チームの勝利のためにすべてを捧げる姿勢とは、明らかに異なる種類の“頑張り”だった。
 
  もちろん、そもそも現在の浦和と鹿島のチーム作りのスタンスは異なる。
 
 ミシャスタイルは、全員が連動し合う機能美の追求の先に、勝利を求めている。もっと洗練されてこそ、勝利も増える。強く、美しく、そして勝つ。そういう信念だ。
 
 自分たちの技を極めてこそ、道を極められる。芸術家に近い発想と言えるかもしれない。
 
 勝利を第一に優先する鹿島とは真逆であり、だからこそ、やり甲斐もあると言える。だから、浦和がCS決勝で勝っていれば、「美しく勝つ」というペトロヴィッチ監督のスタンスが支持されていたかもしれなかった。
 
 とはいえ、結局、浦和はこの10年間で、ルヴァンカップしか獲得できていない。毎年、こうして何度もシーズン最後は、躓いてきた。
 
 残念ながら、鹿島のクラブW杯を含めた快進撃により、この勝利への執念こそ、浦和に欠けているものだと、より鮮明になったのも事実だ。
 
 ペトロヴィッチ監督は常に「我々のほうが良いサッカーをしていた」と強調する。それでも、これまでの大一番での敗れ方を振り返ると、他者の心理を読む力があまりに欠けていると言える。もちろん、それが「特色」かもしれないが、やはりサッカーは勝負事なだけに、究極は「自分たちのサッカーを楽しむ」のではなく、「駆け引きを楽しむ」ことになるはずだ。
 
 CS第2戦、あの最高の雰囲気を醸し出したサポーターは、「鹿島より良いサッカー」ではなく「優勝するためのサッカー」を求めていたに違いない。しかも、結局、最後にたがが外れてしまい、パワープレーに頼り、負けてしまった。
 
 そもそも、美しいサッカーの探求が、果たして浦和の理念であるのか。ペトロヴィッチ監督の基本的スタンスを尊重したうえで、そのあたりを改めてチーム内で考えを一致させる必要があるだろう。

 そして2017年は、1シーズン制に戻る。

 ペトロヴィッチ監督は自身の持つクラブでの指揮官在任記録を更新し、6年目に突入する。シンプルに「リーグ優勝」が目標となる。
 
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