難病を乗り越え400試合出場を達成。広島・森崎和が監督、チームメイトに絶賛されるわけ

カテゴリ:Jリーグ

中野和也

2016年05月24日

数字だけではない400試合出場の価値。

400試合達成のゲーム前には、森崎和の応援イベントも行なわれた。ファンの子どもたちもチームフラッグに、祝福の寄せ書きをした。写真:佐藤明(サッカーダイジェスト写真部)

画像を見る

 ストヤノフと森﨑和が並ぶ形が生まれたシーズン、槙野はこんなことを言った。
「あの形も監督に言われたのではなく、カズさんをはじめとして選手たちで考えてやったからこそ、本物なんだと思います。僕はカズさんやイリアン、アオ(青山)ちゃんを信頼しているから、ボールを前で失っても、急いで戻らない。カズさんたちがボールを取り返してパスを出してくれるから、前に残っている方が(攻撃の)効率がいいんです」
 
 広島と浦和、ここ数年ずっと優勝を争っている両チームはともにミハイロ・ペトロヴィッチの薫陶を受けている。ただ、彼が採用しているシステムは、森崎和幸という知性なくして生まれることはなかった。
 
 そして彼とペトロヴィッチとの信頼関係が厚いからこそ、この発想がベーシックな戦術と化し、システムの中に組み込まれていった。今のJリーグを席巻している「ミシャ・システム」誕生に、ドクトル・カズは大きく貢献しているのである。
 
 重病と「付き合う覚悟ができた」(森崎和)結果として勝ち得たJ1通算400試合出場の価値は重い。その上、ただ上手くてミスのない選手というだけでなく、ひとつの戦術誕生に深くかかわり、それがJリーグを席巻し広島を優勝に導いたという歴史的な価値も存在する。
 
 そんな偉大な男を代表に呼ぶべきだとは、年齢のことを考えてもさすがに言えない。ただ、2000年の新人王以来となるJリーグアウォーズで表彰を受ける姿を見たいということは、わがままだろうか。
 
 ミカエル・ミキッチは言う。
「カズは決して目立たない、物静かな青年だ。メディアもなかなか取り上げない。だが、彼がチームにもたらしているものは底知れない。カズは、過去の歴代のレジェンドと並んで取り上げられるべき、素晴らしい選手なんだよ」
 
文:中野和也
 
【関連記事】
【広島スタジアム問題】拝啓 “広島人”。なぜ、旧市民球場跡地にスタジアムを造ってはいけないのですか
【広島】「航平、16番を引き継いでくれないか…」清水がこだわりの背番号を変えたわけ
【広島】得点ランクトップを走るP・ウタカが挑む次なるミッションは?
2015-16欧州日本人選手の通信簿・MF編――乾、本田、香川、長谷部etc.
【ポルトガル戦|採点&寸評】随所に不可解な判定も… 決定機で浅野、野津田ら攻撃陣が不発

サッカーダイジェストTV

詳細を見る

 動画をもっと見る

Facebookでコメント

サッカーダイジェストの最新号

  • 週刊サッカーダイジェスト なでしこJに続け!
    4月10日発売
    U-23日本代表
    パリ五輪最終予選
    展望&ガイド
    熾烈なバトルを総力特集
    詳細はこちら

  • ワールドサッカーダイジェスト 世界各国の超逸材を紹介!
    4月18日発売
    母国をさらなる高みに導く
    「新・黄金世代」大研究
    列強国も中小国も
    世界の才能を徹底網羅!!
    詳細はこちら

  • 高校サッカーダイジェスト 高校サッカーダイジェストVo.40
    1月12日発売
    第102回全国高校選手権
    決戦速報号
    青森山田が4度目V
    全47試合を完全レポート
    詳細はこちら

>>広告掲載のお問合せ

ページトップへ