【横浜】マリノスタウン移転の真相|「6億円」からの解放と日本一の環境を失うリスク

カテゴリ:Jリーグ

藤井雅彦

2015年06月02日

トータルして見れば今回の移転は自然な流れと言える。

トップチームがマリノスタウンで練習できるのは今年12月まで。中澤は「ここで9年間サッカーができたのは幸せだった」と語る。写真:田中研治

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 ただし、いくつかのリスクがある。この地域は多目的遊水地に指定されており、近隣を流れる鶴見川が台風などの影響で氾濫した場合、練習グラウンドが使用不可能になる恐れがあるのだ。過去の例では、多い時は1年に数回浸水し、ヘドロ被害などが発生した場合は衛生面の観点から1週間程度グラウンドを使用できない。
 
 そういった事態に陥った場合は日産スタジアムでの練習はもちろん、ミニ合宿を行なうことも検討されているが、あくまでケースバイケースでの対応になるだろう。
 
 また、Jクラブでトップクラスの規模を誇るスクール事業にも、なんらかの影響が出ると見られている。これまでは自前のグラウンドで練習していたが、来年4月以降は新横浜公園内の「しんよこフットボールパーク」及び市内のグラウンドを時間貸しで、つまり公共施設を使用することになる。
 
 現在の約3,700人という運営規模を維持できるのか。トップチームの約半数がアカデミー出身者であることを考えると、横浜というクラブの未来を大きく左右する懸案事項かもしれない。
 
 とはいえ、である。いくつかの不安材料はあるものの、トータルして見れば今回の移転は自然な流れと言える。現在の横浜の支出内訳は、トップチーム人件費と施設関連費が全体の約3分の1を占める。この状況でも嘉悦社長は「人件費を削る発想はない」と断言している。一方で「他クラブの施設の約3倍」(嘉悦社長)という施設関連費が重い足枷になっているのは疑いようのない事実だ。
 
 今後、施設関連費で削減されたうちの数%を、チーム強化費に充てることも検討されている。クラブの顔であるトップチームが居続ける空間としてのスケールダウンは避けられない。しかし、違った面で余力が生まれ、それがチームの発展を後押しする力となっていくのは間違いないだろう。
◆ ◆ ◆
 充実した環境で日々のトレーニングに励み、過去に他クラブから獲得のオファーを受けた際、練習環境の充実度を理由のひとつに残留を決意した中澤佑二は努めて冷静に話す。
 
「ここで9年間サッカーができたのは幸せだった。このクラブハウスがあったからこそ、僕は37歳という年齢でも元気にプレーできていると思う。本当に恵まれた環境だった」
 
 トップチームがマリノスタウンでトレーニングを行なうのは今年12月まで。来年1月からは新横浜に場所を変えて、日々を過ごすことになる。
 
取材・文:藤井雅彦(ジャーナリスト)
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