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“リアル”南葛SCが挑む「サッカーと仕事」第2回——元Jリーガー社長が提案する新たな価値観

カテゴリ:特集

伊藤 亮

2021年06月29日

「僕よりポテンシャルを秘めているアスリートはたくさんいます」

現役のうちから自分の潜在能力に気付いてほしいと語る嵜本社長。デュアルキャリア採用はアスリートにとって大きなきっかけとなり得るだろう。写真:伊藤 亮

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 アスリートのセカンドキャリア問題が扱われるようになって久しい。幼少時から競技に夢をかけて没頭してきた結果、現役引退後に社会人として0から再出発する難しさや苦しさがよく報道される。

「セカンドキャリアに関するネガティブなイメージは、誰かがどこかで作ってしまったと思うのですが、僕はメディアで報道されているようには考えていません」

 この先、生き方がさらに多様化していくのは間違いない。よって、働き方も多様化していかざるを得ない。アスリートのセカンドキャリア問題は、企業がこの先の働き方を考える示唆に富んでいると捉えている。

「年功序列、終身雇用といったオールドスタイルの働き方が定着している会社では、そのルールに従わない限り昇進できない。そういった企業カルチャーへの尊重がいまだ残る一方で、20代、30代の若者が求める働き方は変わってきていて、新しい形が求められています。優秀な人材ほど時代に合った働き方を求めていきますから。オールドマネージメントの企業家からすると、わがままに見えることでもダイバーシティ(多様性)として受け入れる器を持たないといけない。会社が受け入れられない、許せないという感情でやっていける時代ではなくなっていることに気付くべきです」

 また、アスリート本人からすると、現役中から引退後のことを考え出すのはどこか「逃げ」「妥協」と感じてしまう。そんな彼らの気持ちを、当事者として経験した嵜本社長には痛いほど分かる。そして、だからこそ言いたいこともある。

「自分がサッカーを離れる“前向きな撤退”を決断できた理由は、自分でも分からないんです。でも現実レベルと要求レベルの乖離の大きさを埋められるかと考えた時に、埋められるという自分の中の意見はエゴ、感情であって事実ではない、と気付けたことが大きかった。多くのアスリートは幼少時から10~20年もの間ひとつの競技へ脇目も振らず集中してきています。それだけ時間を“投資”したわけです。それで返ってくるものや、意図や狙いがあって続けているのならばいいのですが、多くの場合はもったいないから、もしくは他に選択肢がないから続けているのが実情だと思います」

 現役中から引退後やほかの仕事のことを考えることを、一身を捧げてきた競技に対する「逃げ」「妥協」と捉えてしまうことに共感するアスリートは多いだろう。だが、見方を変えれば、新たな自分を発見するために勇気を持って未知の領域に踏み出す一歩、とも捉えらえる。このポジティブな側面に気付いてほしい。だから現役のうちから自分の潜在能力に気付くためのきっかけづくりとして、「デュアルキャリア」を推進しているのだ。

「正直、アスリートの可能性は10年くらい前から感じていました。だって、僕でも成長できたわけですから(笑)。僕よりポテンシャルを秘めているアスリートはたくさんいます。改めて言いますが、自分の可能性に気付いてない、もしくは広げようとしていないだけです。あとは、自分で決断したことを正解に導くように自ら行動することでしょう。もっともこれは、アスリートに限った話ではありませんが」

 競技をとことん突き詰め、掘り下げていくことも成長なら、視野を広げてあらゆる要素を競技に取り込んでいくこともまた成長といえる。

 バリュエンスホールディングス株式会社が始めたデュアルキャリア採用には、これまで85名が応募してきて面談を行なった。うち面接に進んだのが45名。そこから採用に至ったのが13名。新たな働き方、そして既存の価値観を変える取り組みはこれからも続く。

 南葛SCではクラブもパートナー企業も、「サッカーと仕事」に関する先進的にして画期的な取り組みが行なわれている。次回はこれら新たな取り組みの最前線に実際に立っている南葛SCのボランチ・布施周士本人に話を聞く。

※    第3回に続く。次回は6月30日(水)の公開予定です。

取材・文●伊藤 亮

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 プレゼント内容は、南葛SCが勝利すれば「夢球×5」、勝利以外であれば、「コイン×28,300」となっている。さらに、勝利の際は「夢球×5」に加え、南葛SCが入れた得点分の夢球も配布される。南葛SCを応援して、アイテムをゲットしよう。
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