ただ、やはり重圧の修羅場をくぐった回数を考えてみると、どうしても昌子には叶わない。そのマイナス面を30代になった谷口がどう補っていくかは興味深い点。それは年代別代表で世界大会を経験していない中谷や畠中にしても同様だ。昌子の場合、直近1年間はJリーグを主戦場にしているが、フランス1部でパリ・サンジェルマンやリヨンといった強豪にコテンパンに叩かれた経験もあり、世界トップレベルを体感しているのが強み。その感覚を取り戻せれば、最終予選では常連組に復帰できる。その可能性を7日のタジキスタン戦(吹田)から強く印象づけることが肝要だ。
こうした候補者以外にも、U-24のマルチロール・中山雄太(ズウォーレ)や今年からベルギー参戦を果たした橋岡大樹(シント=トロイデン)、190㎝の長身レフティ・町田浩樹(鹿島)、年代別代表のエリート・瀬古歩夢(C大阪)など虎視眈々と下克上を狙う若手も控えている。彼らが最終予選、カタールW杯で主力を張るには少し時間が足りないが、急激な環境の変化や目覚ましい進化があれば、どこかで食い込んでくることもないとは言えない。
U-24世代にも候補者が続々。環境の変化や目覚ましい進化があれば
ただいずれにしても、当面は吉田&冨安のCBコンビが鉄板であることに変わりはない。6月の残されたA代表3戦、U-24のジャマイカ戦は最終予選メンバーに食い込む選手の絞り込みの場とも言える。そこで強烈なインパクトを示す人材が出てくることを楽しみにしつつ、まずはタジキスタン戦からチェックしたい。
取材・文●元川悦子(フリーライター)