【独占ロングインタビュー】酒井高徳が語るシュツットガルトでの3年半|前編

カテゴリ:ワールド

遠藤孝輔

2015年05月19日

運動量が足りないと言われ、3日連続で個人トレーニング。

ラッバディア元監督(左)との思い出は、マンツーマンの個人トレーニング。厳しさのなかにも愛情があった。 (C) Getty Images

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――それでも運動量の低下を感じた試合はありませんでした。上下動が激しくて、ダイナミックで。
 
河岸「それはなによりブルーノが求めていたことです」
 
酒井「そういう練習をさせられましたよ。走る練習(笑)。まず、俺がハーフウェーラインの端に立ちます。で、ブルーノが逆サイドからボールを蹴ってくる。結構、強めなボールを(笑)。浮き球だったり、時折とんでもないところに飛んできたり。
 
 それを綺麗にトラップして、前方にいるタカさんに当てて、俺は走る。で、タカさんがボールを落としてから、俺がクロスを上げる。ハーフウェーラインからゴールラインぎりぎりまで行ったのに、すぐに走って戻らなければならない。
 
 戻ったら戻ったで、すぐにブルーノからパスが出される。その繰り返しです。監督が終わりって言うまで(苦笑)」
 
河岸「タカさん、ボール拾ったら駄目って言っていたよね(笑)」
 
酒井「そうそう(笑)。だって俺が上げたクロスボールを、タカさんが拾って、ブルーノに返すんですよ。でも、タカさんが返せば返すほど、ボールは増えていくから、監督がやりたくなる。だから、もう拾わなくていいよって(笑)」
 
河岸「50メートル以上あるからね。戻るのに。えぐい練習だと思った。ダッシュして戻ったら、今度はゴウじゃなくて、スペース目がけたボールを送ったりもするから」
 
酒井「日本ってボールを呼び込む動きがないと思うんですよ。足下に要求するのが多い文化だから。その意味で、ドイツは視点が違いますね。
 
 面白いのは、スペースに出すっていうのは出す側の発言じゃないところ。ドイツ語で言う『フォーデルン(fordern)』は持っていない側が発信する言葉なんです。そういう言い方は日本ではしません。
 
 ブルーノには『お前が良い時は、ボールを呼び込む動きができている』と言われました。それをやるための練習だから、とにかく自分でアクションを起こせと。俺がきつがるほど、ブルーノは喜んでいましたね(笑)」
 
河岸「本当にえぐかったよ」
 
――いわゆる個人トレーニングでしょうか?
 
酒井「そうです。みんな、周りで観ているんですよ。お前、凄いなって。個人トレなんて誰もやっていなかったです」
 
河岸「その頃は、(酒井と同じ左サイドバックの)アルトゥール・ボカがいて、クリスティアン・モリナーロもいた。ゴウには悪いけど、依怙贔屓はよくないって思っていたよ」
 
酒井「俺に言っていたもんね(笑)」
 
河岸「そう。だって、その個人練を見ていて、控えだったあのふたりはどう思う?」
 
酒井「そうだね。だって、もうマンツーマンだから。監督と」
 
河岸「基本的にやらんよ、ブルーノ。マンツーマンなんて」
 
酒井「うん。見たことなかった」
 
――なぜ酒井選手だけ?
 
河岸「好きだったからじゃない?」
 
酒井「足りないって言われたよ。代表戦から戻ってきたら、運動量が足りないって。で、3日連続で個人トレーニング」
 
河岸「今日もあるかな~って言っていたよな(笑)」
 
酒井「タカさん、早く帰ろうよってね(笑)。でも、そっと帰ろうとしていたら、ブルーノから『おい、ゴウ、ボール集めてこい』って声がかかって」
 
河岸「それでも俺はスーッと帰ろうとしていたけど、『おい、お前もだ』って(笑)。依怙贔屓が過ぎたのはあれだけど、その練習をやるぶん、ブルーノは絶対にゴウを起用していたよね。
 ちょっと休ませてあげた方がいいと思ったし、モリとかにもチャンスを与えるべきだと思ったりもした。個人的にはね」
 
酒井「俺が起用されつづけたのは、右サイドバックがいなかったのも大きかったよ」
 
――酒井選手としては右と左、どちらがやりやすいのでしょうか?
 
酒井「個人的には左ですね。でも、みんなからは右の方がいいって。日本代表のチームメイトからも、右がいいって言われます。パフォーマンスが良くなるって。納得している部分はありますよ。
 
 それは俺が右利きで、左でプレーするより正確性に優れている部分があるから。ただ、左の場合はカットインしやすいし、左足でクロスも上げられるからプレーの選択肢が多くて、やりやすさを感じています」
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