【連載】識者同士のブンデス放談「ドイツ人的メンタリティの両面 だからシャルケの内田選手は重宝される」

カテゴリ:ワールド

遠藤孝輔

2015年05月04日

ドイツでは20人の100%が「2000+α」に

デュッセルドルフに籍を置く瀬田氏がドイツ人のメンタリティを掘り下げる。 (C) Getty Images

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遠藤孝輔:本日のテーマは「ドイツ人のメンタリティ」です。日本とドイツで選手経験をお持ちの瀬田さん(プロフィールは末尾に)に最初に伺いたいのは、ずばり日本人とドイツ人のメンタリティに決定的な違いがあるかどうかです。
 
瀬田元吾:あらかじめお断りしておきますと、日本人のメンタリティを卑下するつもりはありません。それぞれに良さはありますから。その前提に立ったうえで、お話していければと。まず、日本人が口にする100パーセント(の力を出す)は、本当の意味での100パーセントではない場合が多いと思います。
 
遠藤:どういうことでしょう?
 
瀬田:誰かがローカールームで「さあ、試合だ。行くぞ!」と鼓舞したとします。でも、グループの中には“クール”に決め込んでいる選手が絶対にひとりはいるんです。熱くなるのが苦手というか。それによってどうしても温度差が生まれ、全員が同じ100パーセントのテンションになるケースが少ない。
 
遠藤:ドイツ人は違いますか?
 
瀬田:ドイツ人は一度スイッチが入ると、全員が全員「やってやるぞ!」と物凄いテンションになります。クールに決め込む選手はいませんよ。もちろん、日本人のクールになりがちな人も「俺も集中しているし、100パーセントを出す」と口にはします。でも、それは100パーセントじゃなくて、実は99・何パーセントになってしまうというか。
 
遠藤:サッカーにかぎらず、日本では人によっての“温度差”が大きい気がします。真の意味でひとつになりにくい。
 
瀬田:一体感という意味の違いは感じます。ドイツ人は「行くぞ」と声をかけると、その熱気が全員に伝わりやすい。一気にブワーッと火がつく感じですね。20人いれば、100パーセントが2000パーセントになるし、プラスアルファが生まれたりします。
 
 でも、日本ではプラスアルファどころか、100が2000にならないことが多い。この差が最後にファイトできるかどうかに関わっている気がしますね。
 
遠藤:メンタリティという意味で、印象的だったのはDFBカップ準決勝のバイエルン対ドルトムントです。1-1で延長戦に入る前も、PK戦が始まる前も、両軍それぞれが円陣を組み、士気を高めていました。気迫が物凄く伝わってきました。
 
瀬田:あの試合、実はドルトムントの勝利を予想していたんです。試合の2日前にリーグ優勝が確定し、少し気が抜けた状態のバイエルンに対し、ドルトムントはヨーロッパリーグ出場権獲得がきわどい状況で、ケツに火がついた状態でしたから。
 
 バイエルンが優勝を確定させたのは、自分たちが試合で勝利を収めた翌日。優勝の瞬間を全員で祝えなかったぶん、チームとして「よし、次はDFBカップだ」とうまく気持ちを切り替えられなかった気がしました。
 
遠藤:少なからず気の緩んだ選手が存在したバイエルンが、このカップ戦に懸けていたドルトムントに気持ちの面で凌駕された印象を受けました。
 
瀬田:ドルトムントには失うものがありませんでした。今シーズンのバイエルンに、アウェーで負けるのは仕方がない。それにPKになった時点で、バイエルンの選手たちは「自分たちがミスさえしなければ、俺たちにはノイアーがいるから大丈夫」と考えていたと思います。
 
 つまり、そこでも気の緩みが生じた。対するドルトムントのゴールマウスに立っていたのは、ランゲラクという経験の少ないキーパーです。ただ、彼は「このチャンスを絶対にモノにする」と考えていたでしょう。
 
 結果、ランゲラクはゲッツェのシュートをストップしてみせました。トップレベルの戦いでは、そういう小さなメンタルの差が勝敗を分けるのだと思います。

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