――３月のアルガルベカップでは攻撃の幅を広げようと試みていましたが、大会までの約１か月で、どんなサッカーを準備しますか？
 
「もちろん、攻守にアクションする、全員攻撃・全員守備がベースになります。ただ相手も非常に組織的になってきたなかで、シンプルな形とポゼッション、その両面の判断の質は必要になります。
 
　そして各国が、非常にコンパクトになっていて、（球際で）大柄の選手たちから深いチャージを受けます。それに対しての対応、逆に言うと我々の浅いチャージではボールは取れない。戦う意識のなかでチャージの深さなどを考えていきたい。
 
　一人ひとりの質、ハードワークを準備するなかで、彼女たちの力を持ってすれば、（優勝する）チャンスはあると思います。そして、第１戦のスイスは非常に良いチーム。このスイスとの戦いが、今大会の指標になることは間違いないので、その意識は集合する前に伝えて、心して集まってもらいたいです」
 
――この４年間で世界の女子サッカーの流れは変わっていると思います。そこで、どこの国を注意しているかなど、大会の展望を聞かせてください。
 
「2011年は我々がチャンピオンになりましたけれど、その後、（ロンドン五輪では）銀メダル、アルガルベでは順位的に非常に不本意な成績になりました。
 
　どこの国も、レベルが上がり、個の質が上がり、そのなかで連覇を目指すのは簡単なことではないと分かっています。
 
　ただ、思い起こせば2011年のワールドカップも簡単でなかったのは事実です。選手とともに、日本の皆さんに元気を与えられるように精一杯頑張る、それしかないと思います。
 
　細かいことはもちろんありますけれど、そういう想いが詰まった選手たちが、どれだけ意識を高く持ってやれるか。日本の代表として頑張ってきたいと思います」
 
――前回大会では、直前のアメリカ遠征で２試合を戦い、ともに完封負けを喫しました。ただ、これが結果的に良い教訓になり、本大会でもグループリーグ第３戦でイングランドに敗れましたが、優勝のために非常に良い試合になったと佐々木監督は話していました。今後、国内で２試合（５月24日にニュージーランド戦、５月28日にイタリア戦）を戦いますが、ピークの持っていき方など具体的なプランはありますか？
 
「日本のキャンプではしっかりと上げていきたいと思います。ニュージーランドは非常に良いチームですし、（初戦の）スイスと似ています。イタリアは非常に個の質が高く、逆に言うと、（W杯の）第２戦、第３戦をイメージできる相手だと思っています。
 
　この２戦を踏まえて、カナダに行った後は、人工芝に慣れて、少し身体を落ち着かせ、また試合前に少し上げていきたい。いずれにしても照準を合わせていくのは、とにかく第１戦のスイス戦。良いコンディションで臨めるように準備していきたいと思います」
 
――前回大会では川澄選手や海堀選手など、大会中にパフォーマンスを上げていく選手がいました。それを踏まえて、24日、28日の親善試合で、若手選手に求めることはありますか？
 
「これまでの２大会を経験していない選手はメンバーのなかで６名ですけども、この６名がパワーアップすることが我々のチームをさらに活気づけます。
 
　実戦のなかでテストしてみたいと思っていますし、菅澤選手はリーグで非常に好調ですが、それは代表で良い経験をし、さらに自信を持った面があると思います。サブの選手が出てきて、活躍するという好循環ができれば、もちろん良いと思うので、本大会でレギュラークラスよりもサブの選手に常に意識を高く持って、準備をしてほしいです。
 
　そしてサブだろうがスタートであろうが、やはり全員が一枚岩になれるようなチームにしていきたいです。『君が代』じゃないですけれど、さざれ石をしっかりと強固な岩にしたチームがなでしこジャパンですので、それを忘れずに準備していきたいと思います」
 
■ワールドカップメンバー23人

Pos.	No.	名前	所属
GK	１	福元美穂	湯郷ベル
	18	海堀あゆみ	ＩＮＡＣ
	21	山根恵里奈	千葉Ｌ
DF	２	近賀ゆかり	ＩＮＡＣ
	３	岩清水梓	ベレーザ
	４	熊谷紗希	リヨン（フランス）
	５	鮫島　彩	ＩＮＡＣ
	12	上尾野辺めぐみ	新潟Ｌ
	19	有吉佐織	ベレーザ
	20	川村優理	仙台Ｌ
	23	北原佳奈	新潟Ｌ
MF	６	阪口夢穂	ベレーザ
	７	安藤　梢	フランクフルト（ドイツ）
	８	宮間あや	湯郷ベル
	９	川澄奈穂美	ＩＮＡＣ
	10	澤　穂希	INAC
	13	宇津木瑠美	モンペリエ（フランス）
	14	田中明日菜	ＩＮＡＣ
	23	永里亜紗乃	ポツダム（ドイツ）
FW	11	大野　忍	ＩＮＡＣ
	15	菅澤優衣香	千葉Ｌ
	16	岩渕真奈	バイエルン（ドイツ）
	17	大儀見優季	ヴォルフスブルク（ドイツ）